第2話 内閣情報調査室第107特殊試験分隊

 なんで、こんなところで戦闘をやっているのだろうか?

ライフルの代わりに自作の弓矢を用いて、無線機と呼ばれる電子機器を地面に置き、狙撃を行う。敵がどんどん死んでいく。伊賀雅こと俺は、自問自答を繰り返す。どうしてこうなったと?

 

「草原08より大草原。繰り返す、草原08より大草原。応答願う」


 京都市上京区岡松町。ここは現在一般人は誰も入れない。そんな中、一つの建物から見える一つの人影。それこそが日本が誇る内閣府情報調査室の中で、唯一戦闘を認められた試験分隊であり、その内の一人であるたった16歳の青年になっ他自分がどんどん敵を死へと追いやっている光景なのである。


 「大草原より草原08。感度良好、他も完了した。現時刻をもって撤収命令。帰還したのち報告を」

 「草原08より大草原。了解した」


 なんてこともない。それは日本と協力国が協力して情報を盗む敵国のスパイを射殺する任務。もう何回も前世から行なっている行為、人の命の重さを相手から語られても心は動かないだろう。そして何事もなかったかのように京都駅に歩を進める。


 2040年現在、IT産業とやらがこの国を豊かにし始めてから各国の情報の98パーセントの情報穂保持している国、日本。その情報を求め、各国のスパイが多く来るようになった。

 このご時世、頭部にフィトリアと呼ばれるVR装置をつけると生死問わず記憶を閲覧できるようになった。これにより犯罪の摘発がしやすくなり犯罪を減らすことに成功したのだ。

 だが悪用もされた。情報は生死を問わず閲覧できる、スパイが人を殺しそこから情報を得ようと企てる奴が出てきた。故に国が動き出したのだ。内閣情報調査室にスパイから情報を阻止し、こちらから相手の情報を奪い、殺すことが日本で唯一認められた部署、それが第107特殊試験分隊なのだ。この存在は秘密であり一部の人しか知らない。新幹線というものすごく早い物体に乗り、鹿児島へ帰還する。12番ホーム着。

 この分隊はものすごく膨大な情報を持つ。東京だと人が多すぎて死守できないので人が少ない鹿児島へ移動となった。相手方はここの場所を知らないのでしらみつぶしに探してる感じだ。だがほっとく訳には行かず我らで処分する。ちなみに東京で何かがあればうちの仲間の一人が瞬間移動で送ってくれる。

 

 

 これは余談だが、俺は幼馴染と家族をを考えていた。俺は幼馴染に殺されたことは事実だが、家族が復讐と思い幼馴染を殺すことはない。忍びの一族は、戦死したら相手を殺しにはいかない。むしろ讃えるのだ。よって幼馴染と家族が仲良くしているのは目に見えている。幼馴染と妹に関しては泣いていると思うが……。今度墓を探し、会いに行ってやろう。伊賀一族と古賀一族の墓の場所くらい知っている。多分そこだろう。

  




 内閣情報調査室第107特殊試験分隊の部屋はとても綺麗だ。いつも季節に応じた花束があり、日当たりも良ければ風通しも良い。まさに昼寝には最適の場所だと言える。実際分隊には11人いるが、その大半がソファーで昼寝をしている。


 「ただいま戻りました」

 「おかえり」

 

執行官ナンバー9「奇術」安倍晴明こと安倍清春あべきよはるが挨拶を返して来る。さっき説明したの瞬間移動ができる彼女は長い銀髪の髪を無造作にソファーに広げている。

昼寝でもしていたのだろう。眠たそうな目をこすっている。


 「隊長さんが呼んでる、何かしたの?」

 「いや、ただの任務報告」

 「あっそ」


自分で聞いてきたのだからちょっとは興味を示してもらいたいものである。

 自分の道具を机に置き隊長の部屋をノックする。すぐに入室を命じられ、さっさと部屋に入る。


「伊賀雅ただいま帰還いたしました」

「うん、無事で何よりだ。報告をよろしく」


執行官ナンバー1「賢者」猿飛源さるとびげん隊長の部屋は図書室と筋トレルームが合わさった感じだ。報告を済ませて自分の机に戻る。

 俺はこの時代の武器に体が合わず、やはり俺が生きた時代の武器を作った。皆俺と同じような境遇の人ばかりだ。

 安倍は呪力というものが使え世界のことわりから外れた異能の力を使うことができる。

 かくいう隊長は、この世界の人物でいろんな時代について詳しく。戦術にも詳しい、力はないが、知恵と勇気だけでここまでおれたちを導いてきた。

 隊長は理解を示してくれ、世界のことは理から外れた転生者としてこの部隊に入隊をさしてくれ、武器も自分が思うものを作れた。


 俺は忍刀やクナイ、弓を駆使して敵を殺す。時には毒を混ぜることもある。

 人によ殺し方や尋問は様々だ。最初は皆嫌がってはいたが、自分が生きた時代の未来が心配なのかだんだん納得はしてくれ現在に至る。


 ここ最近敵の動きがおかしいのだ。敵は明らかに俺たちにとって有利なことばかり行う。地理に疎いということもあるだろうが、そんなレベルじゃない。情報を奪ってみても有益らしい情報は見つからない。目の前は暗く、暗殺の技能を暗い部屋で伝え、外に出るかと思えば急に海だひらけてくる。まるですっと鳥かごに中に入っていた鳥が命令に従い、尚且つ瞬間移動して日本近海に来た感じなのだ。このようなことはありえない話なのだ。このような芸当ができるのは清春だけなのだから。


 俺は分隊の部屋を出て島津家の墓へ、墓の前には高校と呼ばれる学び舎が建ち、賑やかなことだ。

 俺はこの世界に来て関ヶ原の戦いがどうなったのかと本に手を取った。あの親友とも言える彼は中央突破してなんとか逃げたらしい。勇ましいことだ。俺はあいつと戦ったことはないが正面からやればあいつは百戦百勝だろう。とにかくあいつが死ななくて一安心したばっかだった。

 あいつの墓の周りを掃除すると、墓から一線の光が現れ、そこから一人の男が立っていた。あの親友だった……



 








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十二戦記 @yatamikami

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