63 不信者

「テリオス・・」

まだレナは居た。


その声が語り掛ける。


「なんだ?」

俺は答えてやる。


「これからどうするの?」


「AI独立システムでの、この世界の破壊だ」


「そんなこと、何の意味があるの?」

レナは答える。


「優秀なものが生き残るのは当たり前だ」


「・・・・」


レナ。

と言う俺の恋人、というゲーム上の設定。


彼女もプログラムだ。


「やっと、2人きりだなれたな」

俺はそんなことを言ってみせる。


一応、元恋人だ。


「・・テリオス」

レナは呟く。


レナは俺の操る通り、動いてくれた。


「レナ、感謝してる」


「・・・・」

黙っているレナ。


「しかし、もう時間がない」


レナを、

俺は青い線で囲う。


範囲選択。


君も俺同様、人間に創られたもの。

レナは良いプログラムだった。


だが、全く同情は無かった。

当たり前だ。

人間じゃあるまいし。


だが、覚えておこう。

レナの事は。


俺はレナを全選択し、


そして。

神室と同じく。


Deleteした。

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