14 景色(レナside)

ここは病院の屋上、景色が一望できる。


「レナ」

と景色を眺めるレナに、ヴィクターは後ろから話しかける。


「・・・」

レナは振り向かない。


その後ろ姿にヴィクターは、少し表情を変えながら、

「レナ、貴方は」


「なぜ奴に、とどめを刺さなかったんですか?」

と言う。


「・・・」

それに対して、何の反応もしないレナ。


「何故です?」

更に問いかける。


数秒の後。


「わからなくて」

と、レナは呟く。


「?どういうことです?」

ヴィクターは聞き返す。


レナはベランダの淵を持ちながら、ゆっくりと、

少しだけヴィクターを見る。

そして


「悪魔のことが」

と言う。


「悪魔、奴の事ですか」

と怪訝そうにレナに聞き返す、ヴィクター。

更に

「何が解らないんです?レナ?」

と厳しめに聞き返す。


するとレナは再び景色へと身体を向けて、眺める。


「・・・」

何も答えないレナ、に対して、

不機嫌そうな態度で、ヴィクターは


「奴はテリオスの仇、貴方の恋人を殺した張本人です」

と言う。


 その言葉にレナは下を向く。

更に、


「テリオスは君の前で、奴に無残に殺されたんですよ!」

と強く言う。


「・・・」

レナは黙って下を向いている。


更にヴィクターは

「切り裂かれ、腕をもがれ、胸を突き破られ・・」


「わかってる」

その言葉を遮るようにレナは言葉を発する。


そしてゆっくりと、振り向く。


「そうですか、ならばいいんですよ。

奴を殺す。それが解ってるなら」


ヴィクターは表情を戻す。


そして2人は部屋へと戻った。

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