12 消滅

 長髪の男は手に何やら書物を持って、

それを読み上げ魔法を唱えているようだ。


 レナは弓構えを取り、俺に狙いを定める。


それはこの前、街で喰らった時より至近距離だ。


しかも俺は重症を負って動けない。


HPで表せば300の内10位しかないのと同じだ。


この状況で矢を撃たれたら。今度こそ終わりだろう。

 しかしこの前のように、


(帰りたい)

とは思わなかった。思えなかった。


 解ってもらうか、あるいは、やられるか。

の二つに一つ、と俺は考えた。


今回は逃げられない。

俺はそう誓っていた。


 そして・・


レナは・・


矢を撃った。


瞬間、俺の前から、レナと共に全ての景色が消えた。

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