11 運命

 ついにここまで来た。

俺の身体は、ボロボロになりながらも、

 その、美少女に恨まれる事を、嫌がる気持ち一つで

レナの前に立った。


 周りには民衆は全く居ない。すでに皆、避難済みのようだ。


どうしてここまで用意周到なんだ?


俺がここに来るのを知っていた、としか思えない。


そして更に、今回は明らかに、レナが矢を放っていないのに

(ドーン)

と俺の近くで爆発が起こる。


これは?

誰だ?


しかし、考える間なんてなかった。


 相変わらず光弾が俺をかすめる。


 レナとの距離10メートル。

ついに、俺は目の前に立つ。


(レナ)


 俺は強い思いを押し込んで、言葉には出さずにいる。

それはそのまま攻撃になってしまうから。


(レナ)


 俺はそのまま、光弾の雨の中を更に進んで行くと見せかけ、


あえて、そこで立ち止まる。


勿論攻撃は止んでいない。


レナは弓構えの姿勢を、とってレストランの前にいる。


 俺が急に立ち止まると、少し?

レナの表情が変わるように見えた。

 俺の希望がそう見えさせるのか?それとも実際そうだったのかは

本人しか解らないだろう。


 その隙に俺は、周囲に集中して、辺りを探る。


色々なものが見えた。


 特に気になったのは、レナの横に居る、グレーの長髪に髭の男。

(誰だ?)

白いローブに何やら蛇?の刺繍。

一見すると神父、僧侶のようだ。

この男が何か唱えると、手から光の矢?

らしきものが出現して、

レナに渡した。


どういう事だ?


 レナはその、男に手渡された矢を、

構える。


 今、矢を作っているのはこの男だ。

しかも、その矢の色は微妙に青く、レナの矢とは違うようだ。


 その男は俺を指さして、


「さあ、テリオスの仇を取るんだレナ」

と言った。

テリオス?誰だ?

何だこの男は?


そして、レナは頷くと、俺に弓矢を狙いを付ける。

と時が止まる。


俺は。


言いたかった。


(わかってくれ!)

と。

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