絶空2

 俺は何をしたのか当然解らず、そのまま成り行きを見守る事になる。


火の玉は、飛んでくるナイフを焼き尽くして、


そして


(ドーーン!!)

と命中する。


「ロディ!?」

レナが心配そうな悲鳴を上げる。


今のは俺がやったのか??

(いや解らない、でもまさか)


と葛藤している暇もなく。


そこにはロディと呼ばれた男が倒れている。


(え!?)

俺は内心不安になる。


 少女がロディに駆け寄り、かがみこみ、容態を見ている。


俺はバサバサと巨大な羽を使い宙に浮きながら、

その様子を見ている。


そうすると、


「だ、大丈夫だ、レナ」

とロディは答える。


レナって言うのか、少女の名前は。


(ホッ、良かった生きてた)

と内心ホッとする。


が、それとは別に、

(キッ!)とレナは俺を睨む。

目には涙が浮かんでいる。


(え?なんで?!)

と俺は思った。


しかしその思いとは裏腹に、

「この世の光よ、私に力を!」


再び魔法だろう、詠唱に入る。

(またか!)俺は嘆いた。


 俺はさっきやった火の玉を思い返した。


(またあんなのが出たら嫌だ)と思うが、

正直どうやって止めればいいのか解らない。


(でもこのままじゃ・・)

さっきの二の舞だ。

 ロディのように、レナをも吹き飛ばしてしまう。


そうしてる間にも、レナの前に光がまとまっていく。

 1メートル、2メートルと大きくなっていく。

街の建物、商店街、そして昼間の空をも明るく照らし、

大きさを増していく。


(マズイ!)

今度はやられる!そう思った。


 ここにきていくつかの謎が解けつつあった、

しかし

 今はそれどころじゃない!

「!!!」

放たれる。


その光はレナを離れ独立する。

 そしてゆっくりと。

確実に俺を狙い向かい始める。


 感じるのは、その光の熱さ。

そして感じる。これに当たったらタダでは済まない。

消えてしまう。


 目の前に迫る、光が。


しかし今の俺にはある意味、闇、死、そう言えるのかもしれない。


(俺は、俺は・・・)


(もう帰りたい!!)


と願った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る