2 絶空


(何処に行った?あの少女は?)


 辺りをキョロキョロし探すが見当たらない。

見渡す限り、空を映している。


(ここはどこだ?)

自分でも判らない場所に居る。


 さっき喰らった、矢の痛みで腹を押さえる、

相変わらず腹に刺さったままの矢。


(どうなってるんだ?)

身体を貫通してるこの矢。それなのに俺は動いて、生きている。


 そして、この黒い手は。俺の手か?


 そのまま辺りを見ると、どういうことか

そこは空中だった。


そして(バサッバサッ)と音がする。

 これは羽ばたきの音。

よくゲームやアニメなどで聞いた羽音が背中からする。


それを確認しようと背中を見た時。


「上だ!」

と下から声がする。

それは、地上、ということ。


 俺は見下ろす。


 そこには街の、商店街?か

数十人ほどの街人が人だかりを作り、

そして野次馬となって俺を見上げている。


つまり、俺は飛んでいた。


 円状になっている街並みと人々。

その中心には、あの少女が居る。


「あそこだ!レナ!」

その声は隣の、緑の髪色の男の子。

 1メートル程の小人のようだ。

目が大きく子供にも見える。

 さっき、上だ!と言ったのはこの子のようだ。


 その子が動きを見せる。

懐に手を入れると短剣を沢山取り出す。


そして、こちらに一気に投げる!


(マジか!?)

なんでそんなことするんだ!

 俺は何もしてないのに、

と焦りと共に、怒りも感じる。


 そして

「やめろ!」

と地上にいるその子に向かって言い、手を広げる。


 すると黒い手の平に

赤い火の玉が現れて大きくなっていく。


(え?)

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