1 FAST 経験

矢先を俺へと向ける少女。


(え?・・)


 なんだこれは?どういうことだ?

会ったばかりなのに。

 まさか・・。

撃たないよな?


 美少女は俺を見つめている。

見つめ合う2人。

本来なら、どんなに嬉しい瞬間だろう。


 でも今は、緊張と恐怖しかない。


そして、


少女はなんの躊躇いもなく


矢を撃った。


 矢が飛んでくる。という認識もする間がなく

「グア!」

腹に衝撃を感じる。


 グアと謎の低く重い声を出しながら、

俺は後ろに吹き飛ぶ。


(なんでこんなことに)

意味不明な展開に身を任せるしかない。


 そのまま、どこかの壁に激突し、背中に強い衝撃が走る。


 バラバラに散らばった破片を見ると、それはコンクリートだ。

そりゃ痛いわけだ。


(っていうか、よく生きてたな)

と思うと、


「グ!?」

今度は腹に激痛が走る。

 見てみると、輝く矢が自分の腹部に

突き刺さっている。


(痛い!)

俺は慌てて、その矢を抜こうとする、

と、その手は黒かった。しかも大きい。

(え?なんだこれ?)

不思議がっていると、


 さっきの少女が空を飛んで来て、目の前に降り立つ。


そして再び、弓構えを取る。


(また矢だ!)

と俺は気付く。


このままじゃまずい!

と思う、が腹に刺さった矢が痛くて動けない。


 少女の感情が読めてくる。

俺にこんなことをするくらいだ、

決して良くはないだろう。


予想通り

少女が容赦なく矢を放つ。


「!!」

俺は必死に何かしようと起き上がり、もがく。

そのとき

(バリッ!)と何かの音。


(なんだ?)

不思議がるも、そんな暇は無い、


 俺は

(!?)

矢を喰らった衝撃に備えようと、目を閉じた。


 しかし、予想していた衝撃は無い。

(?)

ゆっくりと目を開ける。


すると、周りには誰も居なかった。

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