赤塚の戦い③

「行けー!出陣じゃあ!」

 信長の大声で戦いの火蓋が切られる。山口軍は赤塚に進軍している。ならば、

 俺達も赤塚に向かうべきだ。


 先陣を切るのは、荒川与十郎あらかわよじゅうろう荒川喜右術衛あらかわきうじゅつえもん蜂谷般若介はちやはんにゃすけ長谷川橋介はせがわはしすけ内藤勝介ないとうかつすけ青山藤六あおやまとうろく戸田宋二郎とだそうじろう賀藤助丞がとうすけじょうを中心とした足軽隊たちだ。主は内藤勝介と蜂屋頼隆(蜂屋般若介)だと考えてもらって構わないだろう。


 ホント戦国時代って名前長いし、2つ名前がある人とかいるしややこしいね。


 そうして赤塚に進軍していく中で敵軍とぶつかる。

 相手との距離が10m程になっている地点で弓を使ってちょこまかと攻撃していく。

 勿論、その隙に槍戦も行われる。


「我が名は、織田信長様家臣!内藤勝介!御相手いたす!」

 ちなみに、かなりに言ったと思うが、武将ってのは首をとることが出世に繋がるため、

 1VS1のタイマンバトル(?)が主だ。(上記のように名乗るのが一般的)

 まぁ、こっちの家臣達にはできるだけピンチの時は仲間を頼ることを教えてるから

 戦でそのまま討死ケースは少なくなっている(と思われる)。



 俺ははっきり言って人を殺す事は易易と出来ない価値観でいるから、戦には極力出たくない。この戦を音と視覚で見てるだけで充分吐き気がするレベルに達している。

 そんな中、負傷者が次々と運ばれてくる。中には絶対あの御方死んでらっしゃるって人も数人いた。いや、数人でいい方か。


 そんな感じで、案外こっちにいい方に傾いて気がする。

 そんな時だ。

「うっ...!?」

 先陣を切っていた者の1人、荒川与十郎さんが落馬する。よく見るとかふどには矢が刺さっていた。ビックリして落馬したのだろうか。

 こっちも見ていてハラハラする。

 俺は目を背けた。



 暫くして、荒川与十郎さんが帰ってくる。

 状態は...最悪だった。戦国時代最悪の状態。そう「死」だ。

 後々、仲間に聞いた情報によると、落馬したあとすぐに槍を刺されその時点で即死。

 その後、(首を取られると仲間の士気が下がったり色々な影響が考えられるため、)

 その場で首、胴体の取り合い。綱引き状態にもつれ込み結局こちら側が勝ったそうな。

 死体の扱いは現代社会の基準ではとても考えられない。

 戦国時代の恐ろしさを知った。



 そこからは、押しては引いて押しては引いての状態が続く。本当にまるで綱引きだ。

 こちら側も数人の相手側の上の方の人を討ち取ったらしい。

(討ち取った相手の首を取っていると、近くの敵に討たれるので、)首はお互いに取れなかった。


 戦開始から2時間。いよいよ、これ以上やっても埒が明かない、ということになり

 結果は引き分け。つまり、痛み分けとして終わった。

 午前10時ごろから始まった戦がいよいよ終わった。


 荒川又蔵あらかわまたぞうをこちら側が生け捕り、赤川平七あかかわへいしちを向こう側が生け捕った。

 この生け捕りと、お互いの所有していた相手側の馬を交換したところで戦は本当に終わった。

 その後、信長と俺はそれぞれ自分の城へと帰城して行った。。。


 赤塚の戦い

 織田信長&匠海軍VS山口教吉軍

 ①主な有力者

 織田側…… 織田信長・内藤勝介・蜂屋般若介・荒川与十郎・長谷川橋介・青山藤六・戸田宋二郎・賀藤助丞・上村匠海・柴田勝家他


 山口軍…… 山口教吉・清水又十郎しみずまたじゅうろう柘植宗十たくうえそうじゅうろう中村与八郎なかむらよはちろう萩原丞十郎はぎわらじょうじゅうろう成田弥六なりたやろく成田助四郎なりたじょよんろう柴山甚太郎しばやまじんたろう中島又次郎なかじままたじろう祖父江九助そふえきゅうすけ横江孫八よこえそんはち荒川又蔵あらかわまたぞう


 ②お互いの損傷

 織田軍……およそ30名の死者(荒川与十郎含む)

 山口軍……死者不明(萩原助十郎・中島又三郎・祖父江九介・横江孫八・水越助十郎含む)


 ③結果

 引き分け


 ④戦力

 織田軍……約900

 山口軍……約1600

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