ご対面

少し時が飛び、1549年4月3日。

俺の元に一つの知らせが飛んでくる。

「広忠が死んだ!?」

この日、徳川家康の父でもある松平広忠は亡くなった。「原因は暗殺だった」と聞く。

実は、松平広忠にはの二つの説が存在しており、個人的にはどちらが死因になるのか気になるところではあった。

まあ、知ったところで今の俺にどうこうできる問題では無いのだが。

と、そんな事に対して深く考えている場合ではない。

同盟相手のそれこそ当主が死んだのだ。おそらく次期当主は家康だろう。

今すぐにでも岡崎城に行って挨拶をしなければ……!


今度は状況をイマイチ飲み込めていない信長を引っ張って岡崎城へと向かう。

さあ、ここで歴史のおさらいをしていこう。


まず、松平広忠が亡くなるとき、家康はまだ8才だった。

実は家康は静岡の駿河するがという場所にいたはず。

そして、広忠が実質的な同盟の破棄。これによって、家康は岡崎城に戻された……と聞く。

駿河というのは、あの今川義元の本拠地だ。


という概要の話を信長にしてから、家康を元服げんぷくさせる。

元服は現代語に置き換えると成人...と思ってくれて良い。

8才で成人と言うと早いと思う人も多いと思うが、この時代ではこれは普通である。

「まあ、俺はよく分からんから取り敢えず匠海に任せるわ!」

その言葉を聞いた俺は馬のスピードをさらに速め、岡崎城への道を急ぐ。

ーーーー

と、岡崎城に着く。急いだおかげで予定より少し早く着けた。

少し前に織田信秀と共に来た城だ。毎日多忙でもあり暇な生活を送っているおかげか

少し前のことも昔のように感じてくる。

「こちらへどうぞ」

と、松平広忠の元家臣と思われる人に案内される。


「あ!これは竹千代様」

姿が見えた。この子供が後の徳川家康である竹千代たけちよだ。

「あ、どーも」

と、信長は空気の読めない挨拶をしているが取り敢えず無視する。

「これはこれは、御二方。ようこそお越しくださった」

.......8才の竹千代と、14才の信長。

竹千代の方が完全に対応が大人だ。いや、こっちが子供過ぎるだけか。


「そういえば、久しぶりだね」

「はい」

あぁ、そうか。確かにこの2人も接触していたな。

俺も竹千代くんに会うのは恐らく二回目。一回目はこの時代に来たばっかの時だ。


「すいません、こんな殿様で」

「な!こんなとのs.......」

と、俺が信長の口を抑えながら、本題へと入らせていただく。

「で、父上が亡くなられた今、どうするとお考えますか?」

「今川との縁も亡くなる前に、父上が、切っており、

頼れるのは信長様と、匠海様という状況ですので.......」

正直言うとこれは信長と同盟を結んだからだが。


「まあ、今川との関係を切るきっかけになったのは私達なんですけど.......」

「あ、いえ!そんなことで言ったわけではございません」

と、お世辞をかましてくる。恐らく絶対俺らのせいだと心の底では思ってるはずだ。

しかも、その通りだから言い返せない。


すると、竹千代が「実は...」と前置きを置いて話し始めるのだが、

この言葉にひっくり返りそうになった。

「実は、信長様か、匠海様。出来れば、匠海様の家臣にならせていただきたいのです」

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