家督相続と1人の嫁?
ここからは超、いや激大忙しだった。
これでも俺は織田信長の重臣の一人だ。殿のサポートをするのが当然である。
斎藤道三の娘との結婚準備に打ち合わせ(?)的なものに
家督相続についてのお触れを出したり。
でも、そこら辺の本当に細かいところは他の人がやってくれていた。
と、何だかんだやりながら、もう次の日が結婚式という現実。
もし、これが本当の平成での友達の結婚式なら友人代表でスピーチとかするんだろうけどなあ……
そんな事より上手くいくか否かが気になって仕方がない。
上手くいくかなぁ...心配だなあ。
ーーーー
一日空けて結婚式当日。家臣の一人が大声で宣言する。
「これより織田家織田信長公と斉藤家濃姫との婚姻及び
織田家の家督相続を行う」
いよいよ、始まった。
重い空気が流れている。みんな緊張している様子だった。
「えー、これより織田信長公から御挨拶を頂きます」
どんな挨拶するんだろうか。絶対信長は緊張で心臓バクバク鳴らしてると思う。
ーー
信長side
やっべぇ。。。足ガクガクで、震えが止まらねえ。
信長の状態は匠海が想像したものと数倍酷かった。何しろ当人だけが感じる
視線や、上手くいってくれと願う心の声。
それに、殿ならやれるという期待の声。その全てが重荷となって信長の背中に乗っかっていた。
取り敢えず応急処置として、自分を落ち着かせるために深呼吸を行う。
「すぅ……はぁ……」
深呼吸が緊張を和らげる際に効果があると言うことは既に実証されており、
信長は緊張した時には深呼吸をするようにしていた。
「ふう……少し落ち着いたかな」
息を吐きながら呟く。信長にとって深呼吸は効果てきめんのようだ。
「えー、これより織田信長公から御挨拶をいただきます」
進行の声が響く。心臓がドクンと鳴り、その音を聞かないようにしながら
信長はその挨拶を始めるのであった。
「あーあー、こんにちは。織田信長と申します」
平成のマイクテスト位のノリで第一声を発する。その声は少し乾いていたような気がした。
と、その途端に場にいるほとんどの人間が頭を下げてくる。
一瞬何が起こったのか理解できなかったが、時代劇で殿様に
『ははぁーーー!!!』ってやる奴だと理解し何とか落ち着く。
信長にとっては初ははあーだったのでビビってしまった。
まだ何も喋っていないのに、信長は寿命が縮まる思いだった。
「顔を上げてください。」
そう言うと、皆がこちらを向いてきた。
自分に視線が向かれるのもとても緊張するものである。
そこで、やっと匠海と打ち合わせして暗記していた台本を読み上げる。
「今回濃姫様と婚姻を結ばせていただくと共に、織田家の家督を継ぐことになり大変光栄に思います。父である織田信秀様に劣らぬ行動をしたいと夢見ておりますので
皆さん是非よろしくお願い致します。
それでですね、この戦国の世はご存知の通り、日々戦が増えていると思います。
沢山の武士が死に、町人や百姓が死に……こんな時代があと何年...何十年続けば終わるのでしょうか。決まっています。『天下泰平』!全国を我が手中に治め、
日ノ本を統べる……それが私の目標です。
……少々喋りすぎてしまいました。これにて私のスピ……挨拶は終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました」
このスピーチに対する反応は様々だった。
「そんな事出来るわけない」と反対する者。
「殿なら出来る」と言ってくれる者。
本当に様々だった。まあ兎にも角にも今日一日で俺はふたつの物を手にすることが出来た。
一つは家督。どうやら、織田家のリーダーになるにはこれが必要らしい。
二つ目は一人の嫁。どうやら政治的に帰蝶っていう人を嫁にするのは
超お得らしい。まあ戦国時代。家督も継いだしここからが本番かな。
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