楽市楽座

信長殺人未遂……少なからずこの出来事は家中で話題になることとなった。

それは、少なからず信長を潰したいと思っている勢力が存在することを指す。

「本気で政治もしていかないとな」

政治……平成の世のようなややこしい政治は正直家臣らに任せたいが、

ある程度の大きなことは俺と信長がやるしかない。


信長がした政治というのは有名な所しか知らないが、兎に角やらないと。

「そもそも、信長がここに来たのいつなの?」

「匠海の来る1か月前」

1か月前か……案外最近ではあるな。それなら情勢把握なんかは恐らく全くしてないだろう。

平成でも、行方不明者のニュースなんかやってた記憶はないが……

1か月前なら平成の世の記憶もあるだろう。


「何か歴史好きだったり?」

「しない、そもそも通知書は全部1か2」

成績悪すぎだろ。1か2とか見たことないぞ?俺でも一番悪い時でも3だし。

「リュックの中に日本史の教科書入ってたり?」

「しない、そもそも来たの旅行中だし、

旅行中に世界でいちばん嫌いなもの持ってくるわけない。」

まあ勉強嫌いなら、教科書なんか持ってくるわけないよな。そりゃそうか。


「政治...政治……じゃあ、楽市楽座ってやつは?信長知ってる?」

「なにそれ?全く知らん」

楽市楽座というのは簡単に言うと尾張に来るために必要な関所というところと

町人の組合みたいの作って新参者を入れようとしない座というものを撤廃しようという政策だ。

もちろん、メリットとデメリットがあって一長一短だが、

経済を活性化させるという点では今発令しておいて損は無いと思う。


「いいねそれ!」

信長は賛同してくれたようで、すぐに家臣を呼び上記の内容の御触れを出した。

そしてついでに……だが、尾張に来るために必要な関所を撤廃するということは、怪しい者がそれだけ入りやすくなるという事だ。

こちらは俺の独断で後日、関所周りの警備を強化しておいた。

俺にも国政の許可は信長に貰ってるため別にいいだろう。

ーーーー

楽市楽座を発令した当初、町人の長はちょっと不服なところがあったそうだが

噂が広まり、斎藤道三の美濃国や隣の今川、六角さんの領なんかからも人がおしよせて

通りには店が増えたため、何だかんだで長も得をしていたようで、納得してるらしい。

そりゃよかった。

また問題があれば随時修正して行けばいいだろう。


「とりあえず、ちょっとは良くなったんじゃない?」

と、信長は言うが、

物凄い急成長だ。これは凄いことだと思っている。

教科書にも載っている政策。一つ達成かな。

ちなみにだが、俺が独断で発行した関所周りの警備強化も良い効果を発揮してるらしい。

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