正月
昨日から一日空けて1月1日。お正月。
今日は、新年の明けましておめでとうの日だ。
近くの神社にお参りに行きたいな。この近くの神社と言えば…
信長と縁があることでとても有名な熱田神宮。
ここで初めてお祈りに行ってもいいかも。
その提案をしに、信長の部屋へと急ぐ。善は急げだ。
「信長ー」
「ん?どうした?何か御用かな?」
信長はかなりの寝正月のようだ。
平成の時はずっとソシャゲの正月イベントを徹夜で進めるタイプだろうなと予想しながらも、話を切り出しに行く。
「寝正月だな、太るぞ」
「うるさい、、、用はなんだ?」
「熱田神宮って言う所に行ってみたいんだけど、初詣も兼ねて一緒に行かない?」
少し面倒くさそうな顔をしながらも、「まあいいよ」と絞り出したような声で
返事する。絶対渋々行ってるでしょ。
「信長縁の神社だよ?」
「あー、そうなの?じゃあ行くか」
立ち上がり、家臣を呼ぶ。
家臣に熱田神宮に行くことを伝えてから、数十人の家臣を用意させる。
「庭に集合ね。えっとこっちの準備もあるから……半刻(1時間後)後に出発するよ!」
そう信長は言って、襖を開ける。
「いいねえ!青々とした空!白い雲!青い海……は無いか」
そんな意味が分からない独り言を呟きながら、お出かけ用の着物に着替える。
この時代は着衣物が基本的に着物のため、脱ぎ着がとても面倒くさい。
俺も同感だ。お付きの人が一応、一連の事はやってくれるのだが、それだけで多少なりとも時間が消費されるため、かなり嫌だと思っている。
「……着替えは出来た?」
「おう。帯の結び方も慣れてきた」
「へー。俺なんかまだまだ帯も結べないのに」
まだまだだなぁ!と煽ってきながら一欠伸をする。
ーーーー
「さあ行くぞ!更なる高みへ出発だ!」
いや、ただただ神社に行くのだが。
「行くぞー!」
と、軍から突き抜けて一人、馬で走り抜ける。
「ちょ!危ないっ……て!?」
その瞬間俺も猛スピードで馬を走らせる。
「おい!そこ!そこ!危ないって、刃物!」
「ん?刃物?」
信長の30m横方には刃物を持った男が近づく。
俺の言葉に気づいたのか、家臣も呼応して馬を走らせる。流石現職。
家臣の方が馬が速い。
「殿!」
家臣の一人が声を上げる。てっきり俺は信長が「え?どうすればいいの?え?え?」とするのかとてっきり思っていた。ここ数ヶ月過ごしてそう行動すると思ったから。
「フン...一人か。一人くらいなら……!」
サッと馬を降りて、刃物を持った男に投げ技をする。
「...ドラァ!」
信長の大声とともに刃物男が倒れる。
「……こんなもんかな?」
家臣は「大丈夫ですか!?」と駆け寄っていたが、驚愕した。
信長...武術が使えるのか?明らかに数ヶ月やそこらで心得ることが出来るようなものではなかった……と思う。信長は平成で武道...柔道とかそんなもんを習っていたのだろうか。
「……おいおい」
そう呟きながら俺は呆気に取られていた。
その後熱田神宮に出向き、一年間上手く行きますようにとお願いした。
先程信長を襲った者はどこかの刺客だったらしい。
どうやらどこの刺客かは最後まで口を割らなかったようだ。
少なくとも、同盟を結んでいる斎藤道三以外の誰かからの刺客。
……油断は出来ないようだな。
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