第5話

 五


 ケープタウンロイヤルホテルは市内にある安めのホテルだが、ロビーを同じビル内にある高級ホテルと一緒に使っているため、安さを全く感じさせないホテルだった。


 ホテルに着くと、小野たちはジョーに案内されて一つのテーブルに向かった。そこにはすでに一人の女性が座っており、女性は小野たちのことに気がつくと、スクッと無駄のないフォームで立ち上がった。


「あなたたちがジョーの言ってた人ね。ミランダ・カステヤノスよ。よろしく」


 ミランダは明るい振る舞いで言ったが、声には少し疲れが見えるような気がした。彼女は小野たちのところまで行くと、一人ずつ握手を交わしていった。小説に書いてあった通り、とても綺麗な人で、スラリとしたスタイルに金髪で整った顔立ちは、まさに妖艶といっても過言ではないくらいだった。


「まず、あなたに確認してもらいたいことがいくつかあります」


 一同が席に着くと、エリーが口火を切った。彼女の思考を察して、小野はすかさずカバンから神崎の小説を取り出す。


「ここにあるランダという人物は、ベン・ハドリーが殺された日のあなたと同じ行動を取っていましたか?」

「ああ、もうわかっているのね、私のこと。そういえば、インターポリスの刑事って言ってたっけ」


 彼女はエリーから神崎の小説を受け取ると、第三章を読み始めた。一通り読み終えると、彼女は少し苦しそうにして原稿を返した。どうやら小説に書いてあった過呼吸が起きやすいというのは本当のようだ。


「ありがとう、間違いないわ。全て事件当日の私の行動そのものよ」


 ミランダは原稿をエリーに返した。原稿を受け取った時、彼女の手が小刻みに震えていることにエリーは気がついた。


「それで、見せてもらえるかしら、あなたたちが見たっていう地下遺跡の写真を」


 ミランダとジョーは目配せして頷きあった。ミランダは持ってきたショルダーバックからノートパソコンを取り出し、しばらく操作した後に画面をこちらに向けた。


「これが私たちが行った地下遺跡の写真よ。別に調べてもらってもいいけど加工とかは一切していないから」

「あっ、少し色彩や明るさはいじってあるから、無加工というわけじゃないぞ」


 ミランダの言葉にジョーがそう付け加える。すると、ミランダは眉をひそめて、まじまじとジョーの顔を見た。


「えっ、わたし聞いてないんだけど、どうゆうこと?」

「いや、そんな事、対して変わらないだろう」


 ジョーはしどろもどろしながら答えた。

 やはり女は男の上に立つものなのか……。

 小野はジョーの姿を自分と重ねてそんなことを思い浮かんだ。


「何ぼーっとしてるのかしら?どんどん先進むわよ」


 エリーの言葉に小野は慌てて画面を見た。彼女に映像記憶があるせいか、次の写真に進むスピードがものすごく速かった。小野はなんとか目を凝らして地下遺跡の写真を見た。確かに、薄暗い中に日本ではお馴染みの仏像や、世界史の教科書では表紙を飾るほど有名なスフィンクスの像もあった。今となっては技術的に可能(とは言っても現実的に不可能)なことだが、当時からはまず考えられないことだった。


 しばらくしてエリーがある写真で止まった。そこには壁に貼り付けにされた二人の男が写っていた。二人は身体中血まみれで、目や鼻や口からは大量の血が無残に垂れていた。小野は思わず気持ち悪くなって写真から目をそらした。モランはこういうのに耐性があるのか、嫌な顔を浮かべながらも気持ち悪くはなっていないようだった。


「そういえば、あなたは死体の写真を見るのは初めてだったわね」


 エリーはそっと写真を別のものにした。小野は心を落ち着かせるとゆっくりと起き上がった。


「大丈夫だ。続けよう」


 再び画像がすごい速さで変わっていった。写真はやがて地下遺跡が終わり、滞在先の町の様子を写したものに変わった。ここまでか、と思ってエリーがパソコンを操作する手を止めようとした時、モランが語気を荒げて言った。


「ちょっと止めて、二枚ほど前の写真を見せてくれ」


 常に冷静そうなモランがここまで取り乱したので、エリーはびっくりして写真を二枚前のものに戻した。モランが指示した写真は町の市場を写したもので、熱帯地域の野菜や果物を人々が楽しそうに買い求めている姿があった。


 モランは画像を拡大すると、何かわかったかのように大きく深呼吸した。拡大された画像には白髪の年配の老人が顔を半分ほどこちらに向けて立っていた。


「この人物がどうしたって言うの?」


 何か異常があったと察したたミランダとジョーもパソコンの画面を覗き見る。


「チャールズだ……」


 やっと彼の口から出たのはその言葉だった。


「チャールズって、君の恩師のチャールズ・アダムズのことですか?」


 小野は確認するようにモランに尋ねる。


「ああ、おそらく。私の会社が作ったソフトを使わせてくれ、これで確実なはずだ」

 モランは写真のデータを自分のスマホに移すと、手慣れた手つきで操作し始めた。

「よく気づいたな」


 ジョーが感嘆の声を上げる。


「昔から目はいい方なんだ。調子が良ければ数百メートル先の人の顔を判別することが出来るよ」


 彼はスマホをテーブルに置いてみんなに見えるようにした。画面にはジョーが撮った写真と、生前のチャールズの写真が二つ並べてあり、「解析中」という文字が表示されていた。しばらくすると、その文字が「完了」と変わり、「一致率:七十五パーセント」と表示された。


「この顔の角度で七十パーセント以上は確実だと言っても過言ではない。間違いなくこの人物はチャールズだ」

「たまたま私たちと同じ場所を訪れていたということはないの?」


 深く落ち込むモランにミランダが声をかける。


「チャールズはここ最近は市内の病院に入院しているの。しかも、一昨日に亡くなっている」


 エリーが落ち込むモランの代わりに言った。


「じゃあ、一体どうやって?」


 ジョーの問いにエリーは答えられなかった。エリー自身もどうしてチャールズがメキシコなんて遥か遠くにいたのか説明出来なかった。


「いや、あながち不思議じゃないかもしれない」


 そう言ったのは小野だった。みんなが考えに行き詰る中で唯一、小野だけが冷静さを保っていた。彼の仮説ならこのことも説明することが可能なのだ。


「どういうこと?」


 エリーは目を細めて尋ねた。その時、彼女のスマホが鳴った。相手はウィリアムからで、時間的にそろそろ捜査会議の時間だからかけてきたのだろう。エリーはテレビ電話にしてスマホをテーブルに置いた。画面には少し困惑したウィリアムの顔が映し出された。


「わっ、これまた随分な大所帯だね。みんな事件の関係者かい?」

「ええ、第二章のモラン・ゴディマ、第三章のミランダ・カステヤノス、第五章のジョー・モリスよ」


 エリーは三人をウィリアムに紹介した。


「モラン・ゴディマって、もしかして、あの『ウォーリアー』CEOのモラン・ゴディマかい?」


 ウィリアムは少し興奮した声色で尋ねた。


「ええ、あのモラン・ゴディマです。そういうあなたこそノーベル文学賞を受賞したウィリアム・リー先生ですよね」


 モランは笑顔で応じた。


「いやぁ、一度は会ってみたいと思っていたが、まさかこんな形で会えるとは」

「どうしてノーベル文学賞の作家が捜査に協力してるんだ?」


 ジョーがとても不思議そうに尋ねた。


「私も今回の小説に書かれたんだよ。改めて、第四章に出てくるウィリアム・リーだ。しがない作家としてやらせてもらっているよ。そういう君は去年のシエナ国際写真賞の自然部門で二位を取ったジョー・モリスで間違いないかな?」


 ウィリアムは試すように笑みを浮かべてジョーのことを見た。ジョーは目を大きく見開くと、表情を歪ませた。


「どうしてそんなことを知ってるんだ?」

「私の知識量をなめちゃいかんよ。こう見えて物覚えには自信があるんだ」


 彼はこめかみを人差し指で叩いて見せた。ふと小野はある思いが浮かんだ。

 あれ?これって、ウィリアムに聞けば登場人物の正体がほとんどわかったのではないだろうか?


 そう思ったが、言わないでおいた。言ったらきっと、エリーが怒り狂うだろうと考えたからである。

 エリーはウィリアムにこれまでの経緯を軽く説明した。ウィリアムは事情を聞くと、


「わかった。君達も大変だったね」


 とジョーとミランダの方に向いて言った。


「それで、小野くん。君が考えた仮説とは一体どんなものなんだ?」


 ひと段落したところを見計らってモランが小野に尋ねた。小野は顔を上げて全員を見ると、ゆっくりと話し始めた。


「初めに言っておくけれど、この仮説に物的証拠を求めることは不可能だと思う。なぜなら死亡した人たちは自らの手でウイルスを体内に入れているんだ」


 その言葉に一同は唖然とした。

「どういうこと? 彼らは死ぬとわかってウイルスを服用したってこと?」


 真っ先に反応してきたのはエリーだった。


「いや、彼ら自身おそらくウイルスとはわかっていなかったと思う。彼らはウイルスの入った物質を飲む、または注射するように指示されたんだ」

「一体誰から……」


 エリーはそこまで言うとすぐに口を閉ざした。そう。エリーとウィリアムには心当たりがあったのだ。


「おそらくゾルダクスゼイアンの人間に言われたんだ」

「ゾルダクスゼイアンってなに?」


 ミランダが恐る恐る口を開く。


「ある秘密結社の名前よ。あなたがボディガードをしていたベン・ハドリーはゾルダクスゼイアンの幹部だったという噂があるの」


 エリーがすかさず補足を入れた。


「考えてみたんだ。ゾルダクスゼイアンは老若男女、人種関係なく構成員がいる。となれば、もしかしたら被害者全員はゾルダクスゼイアンのメンバーだったのでは、と。そうなれば彼らに共通点が出来て、推理しやすくなる」


 小野は一呼吸おくと続けた。


「まず、被害者を個別に呼び出し、ウイルスを服用させる。出されたお茶を飲まない人間はいないから、あらかたそこに仕込んだんだろう」


 エリーはフェルトと名乗った男のところで起きた事を思い出した。確かに、常識人であれば出されたものは最後まで飲むという癖がついてしまっている。


「あとは、ウイルスが発症するのを待てば彼らは勝手に死に至る。それが一人の時であろうと、誰かと一緒にいた時であろうと」

「でも待って。それは確かにウイルスを体内に入れていることは説明出来るけど、それ以外のことは説明出来ないわ」


 エリーがすかさず反論してきた。


「おそらくゾルダクスゼイアンは被害者を組織に正式に入会させる顔合わせ、とでも言って呼び出したんだと思う。そこでゾルダクスゼイアンが彼らに行ったことは二つあったはずだ。一つはさっき言った通り、ウイルスを彼らの体内に入れること。そしてもう一つは、彼らに催眠術をかけることだったと思うんだ」


 全員がハッとしたかのように小野の事を見た。


「あなた、超能力とかそういう類のオチは絶対に嫌だと言ってなかったかしら」


 エリーが鋭い口調で言ってきた。


「いや、催眠術は超能力ではないよ。れっきとした科学的な手法だよ」


 ウィリアムが助け舟を出すようにスマホ越しから言う。


「一八〇〇年の中頃にジェームズ・ブレードという外科医が研究を始めたのを皮切りに臨床心理学の研究テーマの一つになっているんだ。私が今まで読んできた論文にもそういうのがいくつかあったよ」

「つまり、催眠術にかけて指示を出す。例えば、丸川出版に勤務していた竹ノ塚茂に、ウィリアムに電話して夕の鳥の続編を書いて欲しい、と依頼するよう指示したり、チャールズにはメキシコのユカタン半島に行くように指示を出した。もしかしたらジョーとミランダが一緒に行動しているか、確認したかったのかもしれない。そして、地下遺跡で死亡した二人は自ら貼り付けになるように指示された。こうやって考えていけば、被害者が死亡する直前の不可解な行動が全て説明出来ると思うんだ」


「ちょっと待って」


 ミランダが手を挙げた。


「それじゃあ、ベンはどうなの?ゾルダクスゼイアンの幹部ならウイルスを服用させる方じゃない?」

「ミランダさん、事件当日に見知らぬ男がベンを訪ねていませんでしたか?」


 ミランダはハッとしてフェルトとの会話を思い出した。


「男は『ベンに伝えておけ。動き出した、と』と言っていた。もし、男がゾルダクスゼイアンの人間なら幹部の立場にあるベンにわざわざ伝えなくてもいいのではないでしょうか?おそらく、ベンは『あること』について反対して、組織を抜けようとしていた。だから、口封じとして消されたのではないでしょうか?事件当日にベンは会食をしています。おそらく、それは組織の人間で、そこでウイルスを服用し、催眠術をかけられたんだと思うんだ」


 小野はここまでを一気に喋った。普段使い慣れない単語を多く使ったので脳が疲れて、息は少し弾んでいた。


「確かに筋は通っていると思う」


 そう言ったのはここまで黙っていたモランだった。


「ただ、その仮説を立証するために、大切な要素として動機というものがあるよね。それはどうやって説明するんだい?」


 モランの指摘に小野は少し戸惑った。しかし、すぐに解決策が思いついた。


「おそらく、それには僕たちが関わっているんだと思う」


 全員が小野のことを見た。


「ゾルダクスゼイアンは今回の騒動に僕らを巻き込みたかったんだと思う。事実、僕は神崎守の小説を受け取らない限りエリーに会うことはなくて、今も日本で淡々とした日々を過ごしていただろう」

「私ももし被害者のヘレナが弟の彼女でなければ、ここまで躍起になって捜査しなかったと思うわ」


 エリーが同調するように言う。


「私も竹ノ塚氏から仕事の電話が来なければ、この事件に関心を持たなかっただろうね」

「私もだ。チャールズではない知人がウイルスで死んだとしても、気の毒にと思ってそこで終わりだっただろう」


 ウィリアムとモランもエリーに続いた。


「私もあんなクレイジーなメールさえなければ、今ごろ大人しく刑務所にいたでしょうね」

「俺は親友のボウの手がかりを探している最中に巻き込まれた。そうなると、ボウも彼らの手先ということになるのか?」


 ジョーが寂しそうな表情で尋ねる。


「おそらくそうだろうね。けど、これはあくまでも可能性の話だ。他に辻褄の合う仮説があれば、そちらの可能性もあるよ」


 表情を暗くして俯くジョーをよそに、ウィリアムが「ちょっといいかな」と言って注意を引いた。


「確かに、君の仮説で大抵のことは説明出来る。だが、君が一番わかっていると思うが、まだ解決出来ていない大きな謎がある。どうやって神崎守は我々の行動を忠実に小説にすることが出来たのか、だ」

「それについてはまだ僕も納得のいく答えが出ていません。けどヒントについては見当がついています」


 そう言って小野は再び全員を見回した。


「たぶん神崎守、いや、彼を騙って小説を書いた人物は、僕らに何かしらの共通点があったから選んだんだと思う。つまり、僕らの共通点を探し出せば、そこにヒントがあるかもしれません」


 すると、エリーが前に出てきて言った。


「なら、各々の経歴を思い出せる範囲で書いて私たちの共通点を探しましょう。今夜は遅いから明日の朝でもいいかしら」


 小野はふとロビーにある時計に目をやった。時刻はすでに十一時を回っており、徐々に眠気が催してくる時間だった。


「わかった。じゃあ、また現地時間で明日の朝に捜査会議を開くとしよう」


 そう言ってウィリアムは電話を切った。テーブルには通話終了の画面が表示されたスマホが残された。


「場所はここでもいいかしら」


 ミランダが明るい声で尋ねる。


「そうね。また別の場所を指定しても面倒なだけですものね」

「了解!じゃあジョー、部屋に戻りましょうか」


 ミランダはジョーの腕を引っ張ってエレベーターホールに向かっていった。


「あの二人って、同じ部屋に泊まっているのかな?」


 小野はふと疑問に思ったことを口にした。


「さあ。私たちには関係ないことよ」


 エリーはそう冷たくあしらった。まだ、フランクフルトのホテルの件を気にかけているのだろうか、と小野は肩身が狭くなる感じがした。


「私もなんとか予定を空けてみるよ」


 モランはそう言うと、手を差し伸べてきた。


「ありがとう。君たちのおかげで恩師に最後の孝行が出来そうだよ」

「辛くないの?あなたに取って大切な方が事件の根幹に関わっているとわかって」


 エリーが慰めるように尋ねる。


「いや、セイジの言った通り、チャールズは誰かに操られていたんだ。それは彼の本意ではなかったのだから別に辛くはないよ。それよりも、彼にあんなことをさせたゾルダクスゼイアンの奴らが許せないね」


 そう言ったモランの握る手は自然と強くなっていた。モランを見送って、エリーはそろそろ滞在先のホテルに戻ろうかと出口へ歩き始めた時、小野が口を開いた。


「やっぱり、エリーには色々助けられたよ」


 彼女は思わず立ち止まって小野の方を向いた。小野は少し下を向きながら言いずらそうに、でもはっきりとした口調で言った。


「今回、エリーがいなかったらモランはジョーに危険な目に遭わされていたのかもしれないし、さっきもテキパキと指示を出してくれた。おかげでスムーズに明日を迎えることが出来そうだ」


 エリーの胸がいつもと違う動きをしたことを感じた。自分には小野のような推理力はないし、ウィリアムのように膨大な知識もなかった。けど、彼の言葉で自分の存在意義がわかった気がしたのだ。


「ありがとう、とても励みになったわ」


 エリーはそっと微笑んだ。小野にとって、その笑みは初めて見る彼女の優しい一面だった。


「そして、ごめんなさい。私、今朝まで自分がこの捜査にいらないんじゃないかと思っていたの。あなたやウィリアムと違って、私には際立った才能がないから。だから、ケープタウン市立総合病院であなたを置いていったの。私だけでも出来る、ってところを見せつけたかった」


 肩を落とす彼女の姿は、先ほどまで攻撃的な態度からは想像出来なかった。


「いや、それならいいんだ。僕こそ申し訳ない。君に色々と迷惑をかけてしまった」

 小野は頭を下げた。

「……アペプ」


 彼女がポツリとそう言った。小野も顔を上げて彼女のことを見る。


「病院で会ったIHOのムトがウイルスをそう呼んでいたの。彼女はこうも言っていたわ。『私たちはウイルスの構造の解明を最優先に動いている。だから、このウイルスを作って撒いているのを突き止められるのはあなたたちしかいない』って。いま、非公式であれど動けるのは私たちしかいないわ。絶対に犯人を見つけましょう」


 エリーは小野に向かって手を差し出した。小野は彼女の意外な行動に少し戸惑いながらも、しっかりと応えた。彼女の手は少し冷たく、そして小さかった。


 ケープタウンの明かりはポツポツと消えていき、あたりは暗闇の支配する割合が多くなってきた。夕方に吹いていた風は収まり、道路には街灯がひっそりと夜の街を照らしていた。まるで、この街灯がいい方向であれ、悪い方向であれ、彼らの道筋を示してくれているかのように。

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