第2話
ひとを掻き分けて、私はいつものところへ向かった。その古びた佇まいの店にはあいも変わらず人は寄らないのに、大声で客を呼ぶ店主の姿が見える。「へい、らっしゃあい!今日は品揃えが豊富だよ、音の止まらないランプに、光り続ける玉。臭い石鹸に、なんと、ねむれない枕!これは滅多によそでは見られない代物だ、さぁ買った買った。」店主の身振り手振りといったら、まるでそれらがレアな代物なような風貌だ。通行人達はいつものようにうんざりとした顔でそれを無視するようにとうり過ぎ去って行く。私はそれを苦笑しながら、そっと近づいて「やぁおじさん。あいも変わらず、無駄なことをやってるね。いい加減みせをたたんだらどうだい?おじさんの商才のなさはもうこの町の笑い話のひとつになってるぐらいだよ?」とそういってやったのだ。
負けることが許せますか? @taisi-811kimie
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