第2話再開そして結末へ

 同窓会の一斉メールが来た時からごう君に会いたい気持ちと、会ってしまったらまだごう君に未練と憎しみが残っていることを悟られるのではないかという気持ちが行ったり来たりしました。でも、お互いに結婚して子供もいる親になっていたので間違いなんて起こらないだろうと思い、ずっと避けていた同窓会に出席しました。

 20年近くぶりに会うごう君は、何一つ変わっていませんでした。笑うと八重歯が見えるところも、私のことを恥ずかしそうにに「もも」と呼ぶところも。

 同窓会をきっかけに2人だけで会うようになりました。すぐにホテルにいこうと、誘う彼に「行ってしまえばまた、会えなくなってしまうよ」と最初は断っていましたが、ついに根負けしてホテルに行くことにしました。

 ごう君に触れられた場所から私の細胞のひとつひとつが、喜びと懐かしさで震えました。ごう君の綺麗で長い指を見ただけで、びっくりするくらい濡れてしまいました。

「こんなにエッチになっちゃって」

 ごう君が喜んでいる姿を見れば見るほどまた、濡れてしまう自分がいました。

「もも、綺麗」

 何度も耳元で囁かれると気が遠くなりました。

 こうして、バカな私はまた、ごう君にどんどんはまっていきました。

 学校では子供たちに「嘘をついてはいけません」「正しい行動をしましょう」と、言いながら自分は人に言えないいけないことをしている。でも、どうしても自分を止めることができなくなっていました。

 そんな関係が8年近く続いたある日、ごう君からメールがきました。「めいは、勘がいいです。ももとの関係に気づきました。もう、終わりにしよう」こんな、あっけないメールでした。

 メールが来てから1ヶ月後、私の車のワイパーに紙袋が挟んでありました。中を開けるとごう君に最初にブレゼントした筆箱が入っていました。めいさんの仕業だなと、私は背筋が凍りました。ここで、はじめて不倫していたことの本当の恐ろしさにやっと気づきました。

 そして、その1ヶ月後に、案の定めいさん、貴女から、職場に電話がきたのです。


 めいさんを喫茶店で待っている間、私は、バイトで貴女と最後に話したことを何度も思い返していました。めいさん、貴女に相談した私がバカだったのでしょうか?私が相談したことで、貴女とごう君が急接近し、そして結婚するなんて、二十歳の私は想像もできませんでした。そんなことを考えていると、貴女が私のテーブルに近づいてきました。何十年ぶりに会うあなたはびっくりするほど、更けていました。ごう君との結婚生活の苦労が滲み出ていました。貴女が鞄からおもむろに請求書と、合意書を出してきました。弁護士と作ったのであろう請求書には100万円と書かれていました。

「主人と相談しないとこの金額は払えません」と、私が言うと、

「なら、70万円なら?」

「50万円なら?」

 と、貴女は、どんどん値段を下げてきました。私は

「50万ならなんとか払えます」

 と、合意しました。用意のいい貴方は印鑑も準備していました。そして最後に貴方は私に言いましたね。

「うちは、絶対に離婚しません。ももさん、貴女にも幸せになってもらわないと困ります」

 と。


 めいさん、わたしは、やっぱりごう君のことを恨むことはできません。離婚したくなくて、ごう君が私のことを売ったとわかっていてもやっぱり恨まずにいようと思います。なぜなら恨んでしまったらまた、ごう君のことを忘れられなくなります。憎しみと愛情って裏返しですよね。ごう君にとって、私は唯一、慰謝料を払った忘れられない女になったのです。ごう君の心に一生残るなら50万円は安いものです。

 勝手ですが、私は2人のことを忘れて生きていきます。

 2人にとって私が忘れられない女になったなら、本当の私の復讐が叶ったことになります。

 やっと、今日からぐっすり眠れそうです。

 最後にめいさん、会いに来てくれてありがとう。



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