第3話(逢引)
僕とて年頃の健全なる青少年である。空夢の云う「付き合う」という言葉の意味が男女交際を指すことは
諒解はしているのだが、果たして男女交際とは何ぞや?
一体、若い男女で何をし
(ちなみにこの二人を持ち出したのには深い意味は無い)
男女交際?
過去に紐解いた数々の文学が頭の中をぐるぐると駆け巡ったが詳細な説明はどこにも無かった筈である。
それどころか僕と空夢は知り合ったばかりなのだ。
いや、正確にはまだ知り合ってさえいない。
二人は互いの素性をほとんど知らないのである。
何をどうやって交際するのであろうか?
閑話休題
僕は新しく
「この前にお礼にぜひ……」と彼女から誘われたので出向いてきたという訳である。
恐らく、これが世間一般でいうところのデートというヤツなのであろうな。
期待に高鳴る鼓動。
しかしその一方で本能が胸に語りかける。
興味本位で彼女に近づくにはあまりに不用心なのではないか……と。
ホテルに入った途端、僕は早くも浮足だった。
大理石の床、バカ高い天井に
こんな場所、一介の学生がおいそれと足を運ぶ場所ではない。
待ち合わせ場所にしてはハイソサエティ過ぎやしないか?
予定よりも早く着いてしまったのでロビーにあったソファに腰掛けた。
それから十分ほどであろうか。手持ち
振り向くとそこに空夢が立ってた。
彼女は特に緊張した様子もなく、静かに微笑んでいる。
「申し訳ございません。待たせてしまったご様子ですわね」
そうは言っても約束の時間よりは前である。こちらが早く着きすぎたのだ。
「いいえ、今来たところです」
僕は慣用的に返事をした。
「それでは参りましょうか」
そう言うと彼女はどういう訳か建物の奥の方に向かって歩を進めた。
「で、どちらへ?」
「上ですわ」
「へ?」
ホテルはただの待ち合わせ場所だと思っていた僕は少し慌てた。
てっきり、ここから
果たして、これはどういう
ホテルのエレベーター?
ロビーから上にあるのは客室なのではないか!?
ま、まさか!?
こ、これは!?
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