六六〇円の事情
概要
個人的最強群像劇作家「入間人間」先生が書いた連作短編型の群像劇。数多くの魅力的なキャラたちが複雑多様に絡み合うこの作品の面白さは最後まで読んだ後にこそ分かる。
あらすじ
それはギターを担いだニートの女。
それはストレス解消に万引きする男子高校生。
それは家庭が退屈で仕方ない女子小学生。
それは何となく職に就いていないニートの男。
それは既に居場所を失ってしまった元料理人の老人。
年齢も生き方も理想もバラバラな人間たちが、「かつ丼」と言うキーワードをもとに繋がりあっていく。
これはつまらない、ありきたりな、ちょっとの奇跡が重なっただけの、けれどどうしようもないほどにその全てが愛おしい、小さな小さな物語だ。
オススメポイント
連作短編、群像劇が好きな人はまず間違いなくハマる。細かい伏線が小出しにされていて、最終章でそれらが一気に収束する感じがたまらない作品だ。登場人物は一癖も二癖もあるようでいて、実は私たち普通人とさして変わらなかったりするのでかなり共感しやすい。いや、ニートに共感できるのもどうかとは思うのだが。
またこの作品はいわゆるカップル厨にも推せる作品だ。一つの短編ごとに一組のカップルが描かれるのだが、それらの独特の空気感がやはり面白い。微笑ましく、何処か胸に痛く、共感と不可解が混同している感じが最高に青春を感じさせてくれる。登場人物にはニートがいる訳だが、それでも青春を感じさせてくれるのだ。
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