ドリアングレイの肖像

概要

 先程と同じくオスカーワイルドという作者の作品ですが、今回は童話ではなく長編です(結果的にワイルド唯一の長編小説)。内容もかなり大人向けなものとなっており、なかなか読み応えのある作品となっています。作品の基本は長台詞による会話文で、その独特な逆説的台詞回しが何とも言えないほどクセになる一品です。


あらすじ

 稀代の美青年ドリアン・グレイ、そんな彼を描く真面目な画家のバジル、そしてバジルの友人にしてひねくれている逆説家、ヘンリー卿。

 ドリアン・グレイの絵が完成する日、バジルの元を訪れたヘンリー卿によってドリアンは自らの美しさを強く自覚する。しかし同時にその美貌が失われていくものであることに激しく絶望し、彼は衝動的に自らの絵にある一つの呪いをかけてしまう。

 「私の分の老いを、この絵が引き受ければいいのに!!」

 精神的に不安定となったドリアンは、やがて弁の立つヘンリー卿との仲を深め、その過程で多くの悪行に手を染めてしまう。そしてその度に彼の絵は醜く歪んでいき……


オススメポイント!

 この作品最大の特徴は何と言ってもヘンリー卿が繰り出す荒唐無稽で滑稽ながらも何故か引き込まれて納得しまう台詞の数々です。ひねくれている彼は多くの論に対し否定的な意見と皮肉を返します。それらは皆独特のリズムを持っていて、自然と乗れてしまう不思議な心地よさを持っています。

 全編通して読むのはなかなか大変ですが、編み出された台詞の数々は調べてみる価値がある魅力的なモノばかりです。

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