第25話
*
クラス研修前日、俺は部屋で明日の宿泊研修の準備をしていた。
「えっと……下着に……歯ブラシ……」
「………」
俺が準備を進める隣で八島はスマホでゲームをしていた。
「おい八島、お前明日の準備したのか?」
「ん……した」
「本当かよ……」
「ん……下着は持った……」
「他は?」
「ん?」
「ん? じゃねーよ、まさか下着だけ準備したわけじゃねーだろうな?」
「………ん……」
「目を反らすな! はぁ……手伝ってやるから、お前も荷造りしろよ、明日はクラス研修なんだぞ?」
「なんとか……なると思った……」
「一日目はキャンプなんだから、最低限の物は持って行けよ」
俺はため息を吐きながら、八島の部屋に向かった。
相変わらず部屋は汚い……てか、一週間前に掃除したはずなんだが……。
俺はそんな事を考えながら、八島の荷造りの手伝いを始める。
「下着は自分で入れろよ」
「……なんで?」
「気にしろよ!!」
「……もう何回も見られてる………」
「そうだけど、こっちが気になるの!!」
なんで俺がこんな事をしなくちゃいけないんだ……。
そんな事を思いつつも俺は八島の荷造りを手伝い、無事に八島の準備も整った。
「はぁ……明日はいつもより早く出るんだから、早く起きろよ」
「ん………大丈夫」
「って言って、いつもギリギリなのはどこのどいつだよ」
「ん?」
「ん? じゃねーよ……はぁ……まぁいつもの如く俺がお前を叩き起こすことになりそうだ……」
「ん……木川……無理矢理………起こす……」
「当たり前だ! お前のせいで俺まで遅刻したらどうするんだ!!」
最近俺は八島を起こして、途中まで八島と学校に通うようにしていた。
流石に最後まで一緒に登校はしない、そんなところクラスの誰かに見られたら面倒だし。
「さて、じゃあ俺はこれで、お前も早く寝ろよ」
「……ん」
俺はそう言って八島の部屋を後にする。
そして翌日、俺はいつも通り家を出る一時間前に目を覚まし、準備を整えていた。
「八島!! 早く起きろ!! 遅刻するぞ!!」
「……ん……眠い……」
「良いから起きろ!!」
「あぐっ………」
そしていつも通り、寝過ごした八島を叩き起こしていた。
まぁ……予想通りだな……。
八島を起こすときは少し注意が必要だ。
八島全裸で寝る為、起こすときは布団に繰るんだ状態で、ベッドから床に落下させるのが効果的だ。
「うぅ……イタイ………」
「良いからさっさと飯食って準備しろ」
「うぅ……木川の……鬼」
俺は八島にそう言って、八島の部屋を後にして玄関先で待つ。
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