第24話
恐らく放課後のあの出来事を誤解しているのだろう。
「はぁ……ちげーよ……放課後、横川と少し話しをしててな……それを勘違いされたんだ」
「ん……そう……」
「あぁ……上屋敷に言っておいてくれ、そんなわけねーだろって」
「ん……じゃあ、今メッセージ送る」
「おい、飯食ってる時にスマホ……って、ちょっとまて、お前いつの間に上屋敷と連絡先交換したんだ?」
「ん……ここで一緒にゲームした時」
「あの時か……まぁ、友人が出来るのは良いことだな……」
「ん……今日のご飯を送ってる」
「自動的にうちの晩飯が上屋敷にバレるわけね……」
そういえば、俺は上屋敷の連絡先を知らないな……。
女子に聞きづらいってのもあるけど、なんか聞くタイミング無かったしな……。
「ん……送った」
「それはどうも、ちゃんと分かってくれたか?」
「ん……美味しそうなクリームシチューだね……って」
「いや、俺と横川の事を送ったんじゃねーのかよ」
「ん………忘れてた」
「そっちを優先してくれ、そっちの方が俺にとっては問題なんだ」
「ん……分かった………」
八島はそう言うと、スマホを操作して上屋敷にメッセージを打ち始めた。
「オッケー………」
「そうか、なんて送ったんだ?」
「ん……」
俺が尋ねると八島は俺にスマホの画面を見せてきた。
その画面には『木川は横川嫌い』とだけ書いてあった。
「おい……これは……ざっくりしすぎだろ……別に嫌いじゃねーし」
そんな事を思いながらスマホの画面を見ていると、上屋敷からメッセージが帰ってきた。
『え? やっぱり振ったの!? なんかお前みたいな変態と付き合えるかー! って行ってたんだよねぇ。なんか横川さん可愛そう……明日私がしっかり叱っておくね!』
「………俺は叱られるのか?」
そんな事を呟きながら、俺は八島にスマホを返した。
*
翌日、俺は学校に到着した瞬間、上屋敷に呼び出され屋上に来ていた。
なぜか八島付きで……。
「なんだよ、朝から……」
とは言いつつも予想は出来ていた。
昨日の放課後の事だろう。
八島のメッセージでもなんか誤解は解けてないみたいだったし……。
「……女の子って……恋に生きてるんだよ……」
「全員がそうなわけねーだろ」
良いからこっちを向けよ。
なんで空を見ながら遠い目で俺に語り掛けてんだよ。
「女の子はね……好きな人が出来ると、その人でいっぱいになっちゃうの……」
「あっそ」
「恋は盲目……女の子は恋をすると、好きな人以外何も見えなくなっちゃうの! まるでサングラスのように!!」
例えが分かり難い上に面倒くさい!
なんだこいつ……一体何が言いたいんだ……。
「なのに……昨日の木川君のあれはなに!? 折角告白してくれた女の子に失礼でしょ!!」
「上屋敷、良いから俺の話を聞け、そして八島! お前は寝るな!!」
上屋敷を抑えつつ俺は隣で立って寝始める八島に注意する。
昨日も八島は寝るのが遅かったらしい。
「上屋敷、まず俺は横川に告白されてない」
「え? でも昨日……」
「お前の勘違いだ、それを説明しようとしたら、お前が急いで帰ったんだろ?」
「いやぁ……二人の邪魔しちゃ悪いかと思って……」
「なわけねーだろ……モテねーし……」
「……確かに……」
「なんでそこでお前が応えるんだ? や・し・まぁ~」
「あうぅ………イ、イタイ……」
俺は八島の頭を掴んでギリギリと頭を締める。
「……うぅ……女の子に……暴力……ダメ……」
「女の子として見て欲しいなら、少しは女らしくしろ」
「何言ってるの? 絢葉ちゃんは十分女の子だよ!」
「八島の胸を揉みながら言うな!」
俺は上屋敷にそう言い、屋上を後にしようとする。
「話しが終わりなら教室戻るぞ、ホームルームが始まる」
「あ、まって! じゃあ横川さんと何を話してたの?」
「え?」
自分がホモだと思われてて、漫画のネタにされそうになってたなんて言ったら上屋敷の奴、また面白がってなんか言ってきそうだな……面倒だし言わなくて良いか……。
「何でもねぇよ」
「えぇ~気になるぅ~!」
「引っ張るな!」
「気になるー………」
「八島、お前も乗るな!」
「ねぇ、教えてよー」
「教えろー」
「八島は知ってるだろうが!! 上屋敷も聞きたきゃ八島に聞け!!」
「ん……そうだった」
「忘れてたのかよ……」
「え? 絢葉ちゃん知ってるの?」
「ん……後で教える」
はぁ……なんで八島に話しちゃったんだろ……おかげでまた面倒な事になりそうだ……。
「ん? ところでお前ら……いつから名前で呼び合う関係に?」
「え? 今頃?」
「いや、なんか違和感は感じてたんだけどさ……連絡先も交換してるし……」
「ふっふー! もう私と絢葉ちゃんは親友だよ! ねぇ絢葉ちゃん!」
「ん……………名前……誰だっけ?」
「親友に名前忘れられてんじゃねーか」
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