第9話 その九

「私はいつまでもここにいたいわ」

「それはいけないよ、夢は覚めるものだから」


















 

 目が覚めると、まだ眠かった。 

窓から、月明かりが落ちて私の脚を照らしている。

 入り込んでくる風が心地よい。

 夏の香りがする。

 鈴虫の声。

 蛙の声。

 季節は夏だけど、夜はひんやり冷たい。

 手をついて、ベッドから起き上がる。

 外に出ると、天からの光でまわりは明るかった。

 外でご飯を食べられるよう、テーブルと椅子をおいてある所にマリアがいた。

 エヴァも腰掛ける。

「寝れないの?」

「ええ」

「ずっとこのままがいいわね」

「なにが?」

「このまま、みんなで平和に過ごしたいって意味。なにごともなくいつまでもここで一緒に」

「うん、けど時間は止まってくれないわ、常に変わっていく。時代は変わる人も変わる。状況も変わる、季節も移ろう。私も結婚しなきゃいけなくなるし、総一もいずれ……」

「どうなっていくのかしら」

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