私学の女学校を買い取りなさい


「そのようにいたします、つきましてはサリー様に御礼申し上げたいので、取次ぎをお願いいたします」

「本日はリリータウンにおられます、こちらには明日の昼前にお戻りですので、お戻り次第取次ぎいたします、それでよろしいでしょうか?」

「ニライカナイ内におりますので、連絡をお願いいたします」


 エカテリーナは退出すると、待っていたナスターシャとディアヌに、

「事務局の反応は予定通り、明日の昼あたりに、サリー様とお会いできる日時が決まる」


「とにかく今夜は、ニライカナイでゆっくりしましょう、私、ニライカナイカフェには一度も入ったことがないの、行ってみない、私がおごるわ」

 さすがに元ロシア皇妃、無料の防災備蓄食料専門店などは入らないようです。


「お母さま、ニライカナイカフェって無料なのですよ」

「えっ、知らなかったわ、無料なの?」

「非常用の防災備蓄食料を、古い分から供出しているの、だから無料なのよ、ただセルフよ、カラトリーやマグカップが支給されているでしょう?」

 

 無料と知って、なにか嬉しそうな顔のエカテリーナでした。


 翌日、昼前に、エカテリーナはサリーと会うことができました。

「サリー様、このたびは提出させていただいた『コロニー活用計画』を事務局から許可をいただきました、つきましては、少しばかりご説明いたしたいと思います」


「大体の目的はわかります、うまい案ですね、コロニーを小型のハレムにするわけね」

「事務局がいいといったのですから構いませんが、ナイトガールはやめなさい」

「そんな持って回ったことをせず、そのまま侍女として採用すればよい、管理官府職員から引き上げるのは賛成です」


「そこで私からの提案ですが、コロニーを管理官府と考えるのなら、技芸学校を設立したらいかがですか?」

「技芸学校は管理官府の扱い、五年制でしょう?」


「日本ホームでは、下級職員養成のために、私学の五年生女学校を買い取り、その卒業生から任官させているはず」

「それと同じことをしてもマルスの話、各ホームの実情に合わせて、似たようなことをしても問題はないでしょう」


「ネットワークは人材が絶対的に不足気味、ハウス制度に手を付けなければ、かなりの事は認められる、下手を打たなければいいのよ」

「ハイデマリーさんはここで間違ったのね」


「献上品の話を、正面切って口にすれば、拒絶が返ってくる、しかしネットワークの人材育成は、ヴィーナス様の女奴隷が前提の上に成り立っている」

「そして人材は常に枯渇気味、辺境の執政官府や管理官府は慢性的に人、つまり女官が足りない」


「女官はネットワーク世界を支えるために必要、現地の事務は女官補にしていただく事は好ましいこと」

「ハウスキーパー事務局としては、人材育成の結果、寵妃になったのであれば文句はないし、女官たちも『しかたない』と考える」


 にこっと笑って、サリーは言ったのです。

「マルスの女の素晴らしさ、覚悟をヴィーナス様に示すのなら、ハウスキーパーとしては反対の理由はありません」


「ただ女官、マルスにおいてはメイドですが、我が身はヴィーナス様の奴隷、どのようなご命令にも従う覚悟のメイドを、育成していただきたい」 


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