コロニー?


「コロニー?」

 

「まだマルス移転の前、ミコ様たちがテラにおいでになり、ナーキッドが設立されたときの話です」

「寵妃は所属していませんでしたが、各地にメイドを分散させ、事務などをさせたのです、ハウスの下がコロニー、さらに小さいものがオフィスと呼ばれていました」

 アリシアが説明しています。


「ハウスはそのままにして、メイドのグループとしてコロニーを復活させる、将来的にはハウスに昇格してもよい、所属人数が増えれば、考慮せざる得ないのでは?」

 ディアヌが説明しています。


「スカンジナビアメイドハウス・フィンランドコロニーというわけですか?」

「スカンジナビアメイドハウスは、四つのコロニーが必要でしょう」


 考え込んだエカテリーナだったが、今はこのコロニーの話を百合の会議にあげるのは、先のフェローハウスの問題があるので時期尚早。

 しかしテラ・ナイトマネージャーの職権で、支部のような小集団を作ることはできると判断、四人のウェイティングメイドに、コロニー設立に対して、各メイドハウスの意見をまとめるように命じたのです。


「困ったわ、コロニーへの意見といっても、他のホームは様子見するだけ、当たり障りのない意見になるわ……」

「この北欧ホームの意見で決まるわ、ねえクセーニャ、いい知恵ないかしら」


「今回のコロニーって、結局は小型のハウスではないですか、表立って行えば大変なことになりますよ」

「お母様のお考えでは、ナイトマネージャーの職権で、支部のような小集団、グループに分けるということらしいの、これならハウスキーパー事務局に報告しなくても可能……らしいのだけど、すくなくともサリー様のお耳に入れなくてはいけないでしょうね」


「それは賛成しかねます、やはり事務局には、事前にこの話をして、見解を確かめておくべきです」

「コロニーって、廃止はされてはいないと聞きました」

「エカテリーナ様のお考えどおりとは思いますが、微妙な問題です」


「もし百合の会議の議題に上らないとしても、将来的にはコロニーもしくはハウス分離が話されます」

「そのとき事務局の見解に沿って、行動したとなれば袋叩きは免れます」


「なるほどね……お母様、嫌がるでしょうね……でも仕方ないことよ、事務局から、嫌味の一つぐらいはあるでしょうが、我慢していただきましょう」


「あと一つ、ディアヌ・ロッシチルド様とご相談されるべきです」

「北欧ホームほど切迫していませんが、あそこもそれなりに問題は抱えています」


「今回のこと、ディアヌ様がいい出したと聞き及んでいます、やはり、それなりに考えておられたのでしょう、知恵をお借りいたしましょう」


「スコットランドの話ですね」

「西欧ホームは、イギリスメイドハウス以外にも、フランスメイドハウスも問題を抱えています、コルシカ分離です、ドイツメイドハウスもオーストリアを抱えています」


「分かりました、ディアヌさんに相談してみましょう、互いに抱えている問題は同じ様ですから、たしかまだルテティアにいるはずです」

 

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