誰が説明をするのか?


 しばらくして、

「分かりました、私たちとしては、全住民の集団移転を望んでいますが、ただチタニアステーションは遠い……」

「で、住民を説得するために建物など全て移設していただけないものか……無理を承知でオーナーにご相談いただけないかと……代価の話は心得ています」


「心得ているとは?」

「献上品……」


 ……やはり、思ったとおり、何かしらの条件を持ち出すとは思っていたけど、ビンゴだ……


 ここで、ハタとあることにきずいたハイデマリー、冷や汗が出てくるのを感じたのです。


 ……献上品……ミコ様に働いていただくには必要だが……ナーキッドは発言力が上がるので歓迎するはず……もちろん当人は望むはず……だが……これって、ハレムが増えることにならないか?


 まずいぞ……小さいといえど、フェローハレムなんて話になれば、百合の会議の議題になる……女がらみの議題は必ず紛糾する、誰が説明をするのか?


 なんとか別のことにしなければ……セレスティア・デヴィッドソンのようになるのは、ご免被りたい……


 !


 いい案がある、フェロー諸島自治政府にナイトガールを常駐させる……

 ナイトガールはメイドではない、もしミコさまが抱かれたら、それはミコ様とハウスキーパー事務局との話となる。


 大体においてデンマークは売春合法国、ナイトガールを公募してもおかしいことはないし、チタニアステーションには娼館など腐るほどある、その手の女性には事欠かない……


「献上品の話はやはり良くない、フェロー諸島自治政府庁舎に、ナイトガールを常駐させることで、オーナーと交渉してみる」


 で、ミコさんはあっさりと了承、チタニアステーションの内殻都市に、いろいろな建物が移設されたのですが……


「ハイデマリー管理官、ナイトガールの件なのですが、女性たちがなぜ献上品でないのか!と、庁舎の前でデモなどして困っているのです」

「なんとか女性たちの願いを、かなえてやっていただけませんか?」


 デモはしつこく続き、とうとうハイデマリーは献上品の話を、百合の会議の議題として提出する羽目に……

 

「職権乱用ではありませんか!」

「認められません!」

「もってのほかです!」


 容赦ないですよ、それでもハイデマリーが、ナイトガールで事を収めようとしていたことは、評価されていたようで、ハレムの設立は認められませんでしたが、スカンジナビア・ハレムに二人ほど枠が認められたのです。


「とにかくナイトガールは不要、献上品は来年度に二枠で話がつきました、公募してください」

「ただし資格は緩まりませんので、厳選してください、不採用の場合もありますので」


 機嫌が悪いハイデマリーが、フェロー諸島自治政府の担当官に申し渡している。

 散々に袋叩きにあい、挙句の果てに一割減給一月、顔色も悪い。


 三日後にミコさんがやってきて、

「大変だったわね、でも私は、毎度責められているのよ」

「そうですね、二度とごめんですね、やせたと思います」

「そういえば、落盤事故の時に啓示をいただき、ありがとうございました」  


「なんの話かしら、まぁややこしい話はやめましょう、ご苦労さん会でもしましょうよ」

「アマゾネスのメンバーも呼んでいるわ、皆でバーベキューでもしましょう、お肉は私のおごりだから」

「勿論、私たちをご賞味くださるのでしょうね♪」


 仲間たちとバーベキューなどして、昼間からフィノやマール、グラッパなどで酒盛りをし、元気を出したハイデマリーです。

 酔った勢いのせいか、あられもない姿でバーベキュー、相当にいかがわしい宴会となった。

 お陰でこのあと夕食時までご乱行になり、ストレスはきっぱりなくなったようだ。


「それにしてもしんどいわね……腰がだるいわ……アマゾネスって獰猛なのだから……でも資金が少しあまったわね、湯船の謁見の請願にでも使おうかしら」

 誰の言葉でしょうね。


  FIN

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