ボロ儲けの理由
ガリレオ衛星ステーションで、ミコさんを見つけたハイデマリーは、猛然と抗議しました。
「だって濡れ手に粟のボロ儲けじゃないの!」
「職権乱用でしょう!まさか転売しようなどと思っていないでしょうね!」
「……」
「まったく……よく購入資金がありましたね」
「ガリレオ衛星ステーションで、必要物資製造の代価のお金……」
「あの評判の悪い?」
「失礼ね、全うな労働の対価です!」
「なんにお使いになるのですか?」
「テラのヨーロッパの情勢は、聞いているでしょう?」
「大陸側が崩壊したとか……」
「三級市民地域の指定となったのよ、でも一つ困った問題が起きてね、フェロー諸島は自治領で最後の最後にナーキッド体制にとどまると申し出たのだけど、時間切れだったのよ」
「でもあそこは大陸と離れており、大陸側が崩壊したときも交流していなくて、善処を訴えていた、その為に最低限の空気浄化装置などを、残置しておいたのよ」
「ナーキッド内では、乗り遅れたのは自分の責任の意見が強いのよ」
「フェロー諸島にも、もうすぐメス化バルボキア菌と突然変異のエボラ出血熱がたどり着く、もうあそこは終わりなのよ」
「それが今回のボロ儲け話と、なんの関係が?」
「フェロー諸島出身のメイドさんが、一人いるわけね」
「請願をお聞きになった、そういうわけですか?」
「建前上、聞くわけにはいかないわよ、でも私個人の気持ちとして、何とかしたいと思ってね、とにかく二級市民地域に移住させたい、ついてはその経費をひねり出したくてね……」
「なるほど……で、そのメイドさんがおいしかったというわけですね、私はだまされませんよ」
「ミコ様のかっこいい話の裏には必ず『おとし』がありますから、押し倒したのですか?」
「そんなことはいたしません!その……誘惑に負けて……ムラムラと……抱きはしませんでしたが、おさわりをしたり……」
「相当な誘惑だったのでしょうね!」
「……」
「私としては黙認してもいいのですが、チタニアステーション管理官府としての要望を、お聞き願いたいのですが、今回のことと関係する話です」
?
「じつはチタニアステーションも、もう少し活気があればと考えています」
「活気があるじゃないの」
「見てくれはそうですが、定住人口がすくないのです」
「山師と娼婦と商売人、町としては偏った繁栄と思いませんか?」
「大体いわんとすることは分かりますが、ナーキッド審議会が承知しますかね?」
「鉱山の繁栄のためには、支援部隊も必要、その一言で承知すると思えます」
「資金はありますから、ナーキッド審議会もフェロー諸島自治政府も、私が説得して見せます」
「えらい自信ね」
「どちらも、おいしいえさをぶら下げればいい話、チタニアステーション管理官としての、責任の範囲内で収まるとおもいますので、ただミコ様には少しばかり働いていただきたいですね」
「私にも、おいしいえさをくれるのかしら?」
「それはもう……フェロー諸島自治政府と交渉しておきます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます