極低温銀鉱山の事故
ハイデマリーはその中の、最大規模の鉱区の坑道に案内され、入ろうとした時、大規模な落盤事故が起こったようです。
谷の崖が一部崩れて、エアドームが崩壊、緊急警報が鳴り響く中、山師たちはあわてて坑道に飛び込み、坑道口を封鎖したのです。
運の悪い幾つかの坑道口は、崩れた土砂で埋もれてしまい、もっと運の悪い坑道は、入り口がひずみ、封鎖が出来なく、空気が漏れ始めたのです。
ハイデマリーが飛び込んだ、最大規模の鉱区の坑道も、その最も悪い状況に直面しました。
逃げ込んだのは、この鉱区の権利者の二人の山師と、ハイデマリーと、つれてきた二人のナーキッド女性職員の五人。
このとき坑道内部でも落盤が起こり、ハイデマリーは巻き込まれ埋もれたものの、山師たちが何とか引きずりだしてくれました。
軽い打撲ですみましたが、服はぼろぼろ、オルゴールなどの所持品が壊れてしまいました。
「貴女達、このシェルターに入るんだ!早く!」
「それでは貴方達が入れなくなるわよ!」
シェルターは定員二名なのだが、女子供ならば多分三名は入れると思われます。
「俺はいい、ご婦人方が優先だ!俺たちはこの宇宙服で耐え忍ぶ!十二時間は持つ!」
「じゃあ、貴女達、入りなさい!、私は宇宙服を着ます!」
痛みをこらえながら、ハイデマリーと二人の山師は宇宙服を着て、二人の女性職員を有無を言わさず、シェルターに押し込みドアを閉めました。
「管理官、あんたはたいした女だな、痛くはないのか?」
「私はいつも戦場にいた、負傷には慣れている、それより、チタニアステーションに連絡は出来ないのか?」
「あれを見てくれ」
休憩所みたいな場所に、天井が崩れ落ちていました。
「発電機があった場所さ、おまけに通信装置もあった」
「ほかにはないのか?」
「外の谷底にでたら、五キロごとにある」
「じゃあ、やることは一つ、あの坑道口を叩き壊して外にでる」
「電気がない以上、壊すしかないが簡単ではないぞ」
「手堀りで掘削してきたのであろう、爆薬などもあろう」
「しかしあのドアは爆薬でも……」
「ドアは無理でも、周りの岩盤は固そうだが掘れるだろう、坑道を掘った要領で」
「削岩機が動かないので、鑿と金槌だが、やれないことはないか……なら、早速やろう、十二時間しか空気が持たない」
三人は苦心しながらも、岩盤に穴をあけ、爆薬を何とか穴にねじ込み……
坑道全体が落盤する恐れがあるので、派手に爆発させられない。
慎重に爆発させ、岩盤に亀裂をいれると、つるはしでそこからこじ開けるように掘り、かなり必死に作業した結果、二時間後には外に出られました。
「通信機はどこにある!」
「左のほうが近い、鉱山鉄道の139乗り場にある、一キロぐらい先だ!」
すぐに左に行こうとしたハイデマリーだが、
……違う……右へ行かねば……
「管理官!右は四キロ先だ!」
谷底は両側の崖が崩れ、そこを走る鉱車軌道はかなり埋まった状態だった。
二時間かかってたどり着くと、幸いに通信機は無事、チタニアステーション管理官府に、通信がつながります。
「ハイデマリー管理官、ご無事でしたか!」
「幸い軽い打撲ですんだ、ナーキッドの女性職員も無事だ、この鉱山の事故の第一報は入っているのか?」
「二時間ほど前に異変にきずきました、どうやらチタニアの軌道上に浮かんでいる、通信衛星が破壊されているようです」
「陸戦ロボット部隊が緊急出動の準備を整え、当ステーションのある限りの宇宙往還機で向かっています」
「あと三十分ほどでそちらにつきます、140乗り場付近に降下させます」
「それとは別に、近傍のシェルターステーションも動員しています、こちらはあと二時間ほどかかります」
「鉱山鉄道の乗り場に設置されている通信機は、非常事態用の軍用ですので、直接に軍用コンピューターD387459につながります」
「しかしほとんどの通信機は壊れているようで、稼動しているのは十箇所程度です、140乗り場はそのあたりで唯一稼動している通信機です」
「先行する陸戦ロボット部隊は、メッシーナ谷JP付近に降下させよ、最優先で復旧させるように!」
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