移住準備
「エカテリーナ様が、オーナーの我妹子(わぎもこ)様におなりになり、近頃はナーキッドも、ロシアに対して優しいわ♪」
「やはり我妹子(わぎもこ)様を出すことで、要望が通りやすくなるみたい」
「ロシアとオストプロイセンは、ナスターシャ様とエカテリーナ様、本来なら十分なのでしょうが、あの陸軍のクーデターがネックになっているのよ」
「だからナーキッド協定国に、準ずる扱いのままなのよ」
「ニコライ四世陛下がご存命なら、ロシアも大事にされているのに……」
「ねぇ、ロシアの献上品が増えたらどうなるの?」
「我妹子(わぎもこ)様があと二三人……愛する国のためなら、私、この身を差し出すわ」
「ずるい考えね、それなら私も身を差し出すわ♪」
「私は貴女たちほどでないので……お声がかかればためらわないけど……」
中にはこのような方もいるようですが、どうやら四名ほど百合に目覚めたようですね、自信があるようです。
「クセーニャ様はどうなるのかしら、やはり我妹子(わぎもこ)様を望まれているのかしら?」
「望まれているに決まっているわ、それとなくオーナーを誘っておられるもの」
「そうかしら、お気持ちは固まっていないと私は思うわ、オーナーを誘っておられるけど、あれは無意識とおもうわ」
「恋する女性は、自分の心に気がつかないこともあるのよ」
「でも本人はそうでも、オーナーへの視線は熱いわよ、それに聞いた話では、ナスターシャ様がお体を国の為にささげるなら自分もといわれたとか、身体を差し出す覚悟はされているはずよ」
「私の見るところ、もうすぐお手がつくわね、無意識と貴女はいうけど、あれだけ美しい方が、あれだけ誘惑すれば、結果は明白、遅いか早いかだけの問題と思うわ」
「ねぇ、貴女もクセーニャ様を見習わなくては、チャレンジして損はないのよ、だめでもともと、女は度胸よ!」
皆さん、スモーリヌイの生徒さんですよね、なかなかオキャンな娘さんたちのようです。
「そうはいっても、何かきっかけがいるわね……」
「そうね、オーナーに私たちを意識していただかなくては……そばに寄れなくては、チャレンジのしようがないわ……」
「……」
ナーキッド職員家族の移住が終わり、ついに箱舟計画が動き始めます。
人々のマルス移住が始まりました。
第一陣として、アーミッシュのマルスへの移住の様子が世界に配信されたのです。
勿論、ケーニッヒベルク城でも、皆がこれを見ていました。
「ねぇ、この人、采女の指輪をされているわ、もうすぐ我妹子(わぎもこ)様なのかしら」
「やはり我妹子(わぎもこ)様は数なのよ……」
「……ロシアはどうなるのかしら……」
そんな処に、ロシア帝国の、全面マルス移住の話が発表されました。
マルスのロシア帝国の首都は、ニコライ四世シティ……などの現地の情報と、移住後の待遇や移住の条件なども……
さらにはロシア帝国からの移住の窓口として、ミハイロフスキー城がナーキッドに譲渡されることも、公表されました。
「クセーニャ、貴女にミハイロフスキー城での管理を、お願いできないかしら、お母様では心もとなくて……」
ナスターシャの言葉はクセーニャにとっては絶対、自分ができるか不安ではあったのですが、やるしかないと覚悟を固めたのです。
「分かりました、とにかく精一杯やってみます」
「ミコ様がクセーニャを派遣すれば、ミハイロフスキー城での管理は大丈夫とおっしゃっていたわ」
「この間やってきた、スモーリヌイの女生徒さんたちに手伝わせればいいわ、私も手伝いたいけど、オストプロイセンも移住の準備を始めなければならないの」
「オストプロイセンは隣接するバルト三国、ポーランドの窓口にもなっているので、ケーニッヒベルク城も忙しくなるわ」
「ロシア帝国の移住事務は、ナーキッドから人員が派遣されてくるから、任せればいいわ」
「ルサールカ――ロシアの幽霊、若くして死んだ女性などがなるといわれている、ウィキペディアより抜粋――なども来るかもしれないけど、その扱いのために、ブラッドメアリーから、誰か来るそうですから、任せればいいそうよ」
こういう訳で、クセーニャは十二名の妹分を引き連れて、ミハイロフスキー城に赴任することになったのです。
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