メイドと女官
「ねぇ、ナオミさん、何とかなるから考えろといわれたけど、どうすれば……私って馬鹿ね、つくづく嫌になるわ」
「デモレーの八年制高女の生徒の、資格が問題ということでしょう」
「エラムの魔法学校と、奉仕の魔女団の資料をサリー様よりいただいたから、二人で検討しましょう」
「助かるわ……」
二人で資料を調べて見ますと……やはり魔法学校生徒の扱いは女官補、しかもその身は入学と同時に、購入されています。
ただ自身の代金を供託しておき、ハレム内の雑役をすることで、学費や食費を相殺、卒業時に供託金で自身を購入後、退官することができるようです。
ただし在学中に指名を受けた場合は、退官はできません、指名を受けるということは、概ね黒の巫女に抱かれたということのようですが、よほど見込まれなければそのようなことはないようです。
「これなら、生徒をメイドにすれば問題はないわけよね、末女ぐらいなら、可能ではないかしら」
「でも、メイドの採用試験との兼ね合いはどうするの?」
「通常八年制高女は高女課程と女専課程に分かれているけど、高女課程を二つに分けるのよ」
「仮に最初の二年を高小課程と呼び、この二年では魔法は教えない、ひたすらメイドになるための教育をして、三年進級時に末女任官、ここから魔法を六年かかって教える」
「これなら何とかなると思うわ、二年のメイド教育ですから、無条件に末女に任官させても通る話ですし……」
「でもそれでも入学と同時に女官補、女官補という以上はメイドと違うのよ、女官となるわよ」
「そもそもメイドというのは、マルス世界だけのカテゴリー、女官と違い、ある程度の自由はあるけど、女官となるとハレム内の生活が基本、外出などはかなり制限されるわよ、女官補からメイドというのは出来るのかしら……」
「デモレーの八年制高女を、一つのハレムと仮定して、学校外に出るのは許可制にする」
「帰宅するのは長期休暇だけとして、帰省計画を提出させる、高小課程は女官補扱いですので、ハレム内の雑役相当の仕事を義務付ける」
「これは附属病院の看護助手として、雑役に従事させることとする、この八年制高女だけエラムの女官制度を踏襲すればいいとおもうの」
二人は相談して、このような案をまとめ上げました、といってもナオミさんの案ですけど。
翌日の夕食時、ベネデッタは、この提案をサリーに説明していました。
しどろもどろの説明を聞き終えると、サリーは何一つ質問などせず、
「よく考えられています、これなら文句はありません」
あっさりと認めてくれ、百合の会議に提出、これもあっさりと通ってしまいました。
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