嫌な役回り


 美子様が、

「ギヨーム総長、ベネデッタさんに、バレアレス振興策を訴えさせて、私を巻きこむなんて似合わない事をしましたね」

「美子様は、男の願いなど聞かないからですよ」とギヨーム総長。


 美子様は、

「そんな事はありません、法王様のご希望など、多々聞いていると思っていますが?」

「私の願いは、聞いてくれないじゃないですか!」とギヨーム総長。


 美子様が、

「総長、貴方の願いは聞くのではなく、聞かされるのでしょう、いつもいつも貧乏くじは私と、認識しているのですが?」

「そうですかね?」とギヨーム総長。


 美子様が、

「私は嫌いではありませんよ、目的達成のために努力するのですからね、手の上で踊って差し上げますよ」

「嫌味がきつくありませんかね」とギヨーム総長。


 ここで美子様、結構笑いました。


 美子様は、

「とにかくバレアレス振興策、といってもネットワークでの発言力強化のための八年制高女設立計画、詳細を詰めましょうか?」


 美子様はかなり詳細な計画を提示し、それにギヨーム総長が手を入れています。


 美子様が、

「総長、なにか良からぬ事をたくらんでいませんよね、この高女は容姿端麗は不問ですよ!」


 ギヨーム総長は、

「能力優先ならいいのでしょう、しかし美子様のメイドになるわけですから、それなりに美しくなれるのでしょう?」

「シャルル枢機卿に似てきましたね」と美子様。


 デモレーの八年制高女は容姿端麗は不問、整形などせずに、生徒は美しくなれる事が決まったです。

 エラムの魔法学校をモデルにしたようです。


 ギヨーム総長が、

「新設の医療魔法組織ですが、テンプル女子修道会がその母体になってよろしいでしょうか?」


 美子様は、

「女学校を提供したのですからかまいませんよ、マルスにおける『奉仕の魔女団』みたいなものですからね」


「ハウスキーパー事務局の許可を取ってくださいね、私が口をはさむと、またつるしあげを頂きますので」


 ギヨーム総長が、

「それこそ男の私では無理というもの、サリー様に要望を伝えるすべが有りませんが?」

「ベネデッタ・アルクーリに、働いて貰いなさいな」と美子様。


「私が……ですか……ハウスキーパー事務局に行って許可を取るのですか……」

 露骨に嫌そうな顔をするベネデッタさん、ハウスキーパー事務局の許可だけなら簡単に取れるのですが、この許可というのは、『百合の会議』の議題に上げるという事です。


 でも先ごろ、その『百合の会議』で、とんでもない懲罰騒動が起こったのを目のあたりにしているのです。


 ……『毒薬料理』の後のオムツ……

 

 ベネデッタさんがニライカナイのハウスキーパー事務局に、恐る恐る出頭してテンプル女学校の件の許可を申請すると、受付の方が、

「その件についてはサリー様が直接話を聞きたいとおっしゃっておられましたが、申し訳ありませんがただいま会議中なので、一時間後にお越し願えませんか?」


「一時間後ですね、分かりました」とベネデッタさん。


 ベネデッタさんは暗い顔でとぼとぼと歩きながら、

「どうしよう、なんて云われるのか……」

 と呟いています。


「とにかく時間をつぶさなくては……」

 近くにあったニライカナイカフェに入ると、コーヒーなどを飲んで……

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