八年制医療魔法専門高女設立計画


 お風呂でひと騒動した後、アマゾネスのメンバーとの朝食で、

「ベネデッタのお願いだけど、デモレーに八年制高女を設立したらいいわよ」

「でもそれだけでは意味はなさない、特別の高女、そうね、医療魔法専門なんていいわね」


「人に尽くす医療魔法の女官さんですから、学力優秀で魔法を使える素質がある女性なら、容姿はあまり問わない」

「卒業すれば文句なしにメイドに任官、お医者さんですからね」


「それを独占的に人員を育成するデモレーにある八年制高女、バレアレスの発言力は上がるはずと思うけど」

「まぁギヨーム総長に相談してみてね、これなら三大財閥からの妨害も受けないでしょうね」


「それに『ソドム百二十日事件』――ミコの女たち3 パープル・ウィドウ・コレクション の 第四章 ローズマリー・ロッシチルドの物語 狩猟 を参照されたい――で医療魔法が認識されたでしょう?」


「この専門女学校、マルス中から生徒を集められるし、卒業生で『奉仕の魔女団』のような組織を作ればいいわ」

「そして組織の本拠地を、バレアレスのどこかに置けばいいのよ」


 ……医療魔法専門八年制高女……そして卒業生で医療魔法専門組織を作る……たしかにこの案なら、バレアレスの存在価値は高まるのは確か……

 ベネデッタは美子の案を、ギヨーム総長に相談してみると、

「良い案だ、さすがは美子様」と小躍りしたのです。


「でも総長、教官はどういたしましょう?」

「美子様が口に出されたのであるから、落ち漏れなどない、必ずお考えが有る、多分呼び出しが有るはず、そこで決まる」


 確かに二三日して、ギヨーム総長はマルスの首都、グラブダブドリッブにあるルシファー宮殿に呼ばれたのです。


 宮殿とはいっても、塀の中は大きく二つに仕切られており、その半分は女の園、マルス各地のメイドハウスとはハウス要員専用の異空間倉庫と呼ばれる転移通路でつながっており、専用のアパルトメントを中心とした地区に分かれています。


 グラブダブドリッブは、マルスのエリシウム島にあり、珍しく温泉が豊富に湧いている地域、スペース・ラグーンほどではありませんが、各地区には専用の温泉浴場が設置されています。


 この女の園は『サロン・キティ』――ドイツのベルリン、シャルロッテンブルク区ギーゼブレヒト通り11番地にあった高級娼館の名前、ナチスのSDが諜報のために経営した、ウィキペディアより――と呼ばれています。


 このルシファー宮殿内の男子禁制の女の園、『サロン・キティ』と、男も入れる執務事務エリア『ハイプリエステス――女教皇の意味――』の間には中庭があり、中庭と『サロン・キティ』の境に内部を仕切る壁が有るのですが、その壁に食い込むように、小さい白亜の館が建っています。


 この館は『あぶない狼の館』と呼ばれており、その昔、テラの東京ハウスにあった物ですが、そのままマルスでも使われているわけです。


 この『あぶない狼の館』は、美子さんのプライベートな謁見などに使われます。

 社会奉仕などした方々とかを呼んで、自ら作ったお菓子などで、接待などもしたりしています。

 ギヨーム総長が呼ばれたのは、この『あぶない狼の館』です。


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