マローダ倶楽部


 この後はすんなりと、レイキャネースのナーキッドタウンに戻ってきました。

 ただ美子さんは、かなりリュシエンヌさんに嫌味を飛ばされていたのです。


 美子さんに、ティアはのぼせています。

「頼もしい……美子様……私も早くディアヌお姉さまのように……」

 でももう一人、のぼせた女がいました、アヌークです。

「頼もしい……美子様……私も早くディアヌさんのように……」


「アヌーク!美子さまにお仕えするのは、私が先なのよ!」

「そんなの関係ないでしょう!それに私の方が綺麗だもの!」

 確かにアヌークは綺麗です、青い力強い目をし、いささか意志の強そうで、大きめの口が全てを語っています。


 対するティアは、小さな口と、こちらはいささか広めの額、知的で高貴な容貌で、物憂げな雰囲気が漂う美少女です。

 美人といえば間違いなくアヌークでしょうが、女性としてみればティアが圧勝なのです。


 いがみ合っているかと思った二人ですが、突然アヌークが、

「途中から乗ってきたゴヤさんたち、シュノンソーについて車から降りてきた時、リングをつけていたわ、あの方たち綺麗よね……」


「美子さまと一緒に、三十分は車の中にいたわよ」

「車の中でエッチしたのかしら?」

「だめよ!私たちより後なのよ!」

「そうよ!」

 仲が良いのか悪いのか、分からない二人ですが……


 この後、良くディアヌに、「二人とも仲良くしなさい!」と怒られたりしています。

 でもいつも一緒、お買い物も映画も、学校でもいつも一緒にいるのです。


 マルス移住後は、二人とも仲良く、ルテティア女子グランゼコールのメイド任官課程に通っています。


 そうそう、やはりゴヤ姉妹はほどなく側女になり、ティアとアヌークは多少むくれたのです。


 でもやはりゴヤ姉妹は苦労しているようで、ティアとアヌークを様付けでよび、ご機嫌をとったので、簡単に機嫌が直ってしまいます。


 あのマローダはこの後、マルスに移されたのです。

 シュノンソーの車庫に収まっており、毎年この時の旅の関係者が、直近の土曜日の夜に集まるようになりました。


 マローダ倶楽部と名付けたのはティアで、ティアとアヌークが側女になった十五歳の時、マローダ倶楽部で盛大にお祝いをしたそうです。


  FIN


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る