明日晴れるかな

神より賜えし孤独やトラブル

泣きたい時は泣きなよ

これが運命でしょうか?

あきらめようか?

季節は巡る魔法のように


「もうダメだ、死にたい」と思った時に友達が勧めてくれた桑田佳祐の「明日晴れるかな」という曲の歌詞だ。

本当に、本当にこの曲には励まされた。


あれから3年、私は32になった。


1年前、私の急性骨髄性白血病は完全寛解した。

今は、元気で、先週ウィーンに和也と新婚旅行に行ったくらいだ。

そう、私は来月には和也と入籍する。


地獄のような日々だったが、今となれば、死ななければ、良い経験だったと思う。


いや、大きな煩悶と比べたら日常のストレスが些細な物であると言っているわけではない。


誰だって、つらい事はある。


そんな事しか私には言えない。


誰々の苦しみと比較したら、自分は、あいつは、何て小さい事で悩んでいるのだろうとか思ってはいけない。結局、他人の苦労は自分には分からない。自分の人生を真剣に考えられるのは結局自分しかいない。


だとすると、他人は何の為にいるんだろうという疑問に行き着く。


他人は何の為にいるのか。それは自分ひとりでは何も出来ないというのは勿論だが、少しでも自分の苦しみや喜びを共有する為にいるのではないか。それは自分の思い込みかもしれないが、他人を信じる、他人が自分を理解するというのは自分の勝手な思い込みでもあり、生きる上の希望なのだ。


そんな事を考えながら今日はミネストローネを作るので野菜を細かく刻む。

そろそろ帰ってくる時刻かな、と思った時に和也は帰ってくる。


「ただいまー」

「おかえり」


和也。

本当にありがとう。

今こうして当たり前に生きている。

この当たり前が、一番の幸せと教えてくれた。


幸せに一歩一歩人生を歩んでいる。


笑顔で迎えると、そこには大好きな人の笑顔があった。

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