童貞
また、あなたは面白いことを言いますね。輪廻転生ですか、魂の使い回し、うむ、実に面白い。僕も常日頃からではありませんが喋り方のくせや仕草なんかを、自分で自分のものを見つけるとふとそれに似たような感覚に陥ります。この間もコーヒーカップを無意識に左手で掴んだ時などは戦慄しました。僕にはいつからかはすっかり忘れてしまいましたが、利き手があったのですよ。この恐怖を私は身に染みて感じました。左腕に痺れたような鈍い痛みすら走ったのです。分かりますか?利き手こそ前世から引き継がれたものの一つであるような気がするのです。
どうでしょう、僕もまた自分の正当性が分からないのはあなたと変わりないのですよ。だから、今日もこうして月光の元答えを探りあってるのでしょう。そもそも正しさとはなんでしょうね、そんなものはまさに万物の尺度的な考え方で人それぞれなんてつまらない言葉で片付けようと思えば出来ますけど、やはり哲学者がいるように、思考を止めるということは僕達の本来の役目を放棄するのと·····いや、人間としての尊厳をかなぐり捨てるのと何ら変わりないのですよ。だから、考えることを辞めてはいけないのです、あなたもそう感じているのでしょう?だからいつも色々と考え込んでしまうのです。あら、もうこんな時間ですか、すいません、話が色々と飛んでしまって。それでは、僕はこの後唯一見つけた死後の世界へ行く方法を試してみるので、また。あ、輪廻転生について何か参考になりそうなことが向こうで見つかれば連絡しますね。
処女 Lie街 @keionrenmaro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます