第7話 カンベンしてよー

熟睡中のドラゴンベイビーに電撃がヒットした。ああ、なんてこった。赤ちゃんが……俺のベイビーになんてことするんだ。俺は立ち上がった。


「ギリンジ……お前、もう、おしまいだよ。眠っている赤ちゃんを……赤ちゃんを起こすとは……この外道め!」


ドラゴンベイビーは目覚めた。凄まじい泣き声と共に。夜泣きなんてレベルではない。赤ちゃんでもドラゴンだからな。もう、スゲーの。泣き声だけで、皿とかツボの類は全部割れてるし、壁に体当たりして穴、空けてるよ。もう、この部屋、お終いだな。


「このケダモノが、魔界の貴公子ギリンジに歯向かうとは……」


とか言いながら、ギリンジがベイビーに電撃してるけど、まあ、無駄だな。あっ!ベイビーがパイプオルガンにぶつかって、パイプがバラバラになった。おっ、投げてる投げてる。パイプが壁に突き刺さってるよ。ギリンジ、涙目になって


「おい、勇者!お前の赤ちゃんが暴れてるぞ!何とかしろ!」


とか言ってんの。お前ってなんだよ、さっきまでお主って言ってたのに。


「じゃあ…天井ドンは示談でいい?」


「いいから何とかしろ!」


示談成立。魂取られずに済んで良かったけど、赤ちゃんの寝かしつけ、一からやり直しかよ。俺も涙目になってきた。第一、ギリンジさんの電撃で俺の動き、鈍くなっているし、正直キツイ。


「ギリンジさん……アンタにも寝かしつけ手伝ってもらうからな……まずは、ベイビーの背中に俺を乗せろ!」


「分かった!」


ギリンジさんと俺はベイビーの背中に乗っかった。ベイビー、暴れてるから、振り落とされないよう、俺たちはギュッと背中にしがみついている。


「トントンだ!背中トントンしろ!違う違う、もっと強めで、ドラゴンだから強めで大丈夫…」


ギリンジさんがベイビーの背中をトントンしてる。俺もトントンしてる。これで寝てくれればいいのだが。無理かー。

 ウワッ!ベイビー、飛んだよ。ギリンジさんの部屋の屋根突き破って、さらに高く。俺たちを乗せてグングン上昇してるよ。


「このままだと、天井ドンするぞ!おい、勇者、何とかしろ!」


四階の天井にドンするまで後5分って位かな。ギリンジさん、あせって背中トントンしながら電撃してるよ。でも、無駄っつーか、ベイビー、電撃吸収して、さらに元気になってきたし。加速してるよ、スピードアップ!天井ドンまで後三分に縮まった。風圧が凄い!


「天井ドンはよくあることだから、謝りゃ何とかなるんじゃね!」


と俺は叫んだ。



このダンジョン、

一階は雑魚

二階は戦場

三階は地獄

ってのが俺の認識。でも、四階がどんなところか知らない。俺の家は二階で、知ってるのは三階のヤバさまで。まぁ、三階のギリンジさんの反応からすると、かなりデンジャラスな場所っぽいけどな、四階は。




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