第7話 『浮遊島』

俺はお姫様抱っこしたクリスを見つめながら

そう言えば俺が壊れてた間に結構な時間が経ってるんだよな・・

今が2022年7月18日って事は・・

入学式の日から3年と102日が過ぎている


クリスティーナは今頃・・高校卒業して大学に入ってる頃か・・

向こうでどんな生活をしているんだろうな?


・・・

『タダ・・・クリスティーナの居る世界にはもう俺は居ない・・』

その現実を直視すると、流石に心が痛くなってしまう


こんな何も無い所でこうやっていても何も変わらない


「俺達の住む所を作らなきゃな」

そう自分の心に言い聞かせるように呟くと


「じゃ~さ~空に浮かぶ島作ってそこに住もうよ」

って突然俺がお姫様抱っこしたクリスがワクワクした表情で大きなブルーの瞳をもっ


と大きく見開きながら俺にお願いのポーズで迫ってくる。


『か・・顔が・・近い』


それに何故・・さっきみたいにカタコト言葉じゃなくて流暢に喋れるんだ?

そんな俺の気持ちなど気にしない風にクリスは


「ね~ね~浮遊島だよ浮遊島!!空中に浮かぶ私達だけのパラダイス」


『パラダイス』


そのクリスの言葉に


『ドクン』



と俺の心臓の鼓動が痛いくらいに跳ねる。

今のクリスはどう見てもクリスティーナにしか思えない!!

クリスなら、『浮遊島』なんてもの知ってるハズが無い・・

それが俺の心を余計にかき乱す。


『何なんだよ!!何でこんなにも動揺するんだ!!楽しめば良いじゃないか!!』


そうさクリスの言葉に乗っかりゃ良いじゃん!!

「じゃ~イッチョやりますか!!」


と言いながら頭の中にイメージ

でもイマイチイメージが出来ない・・・

兎に角今まで見た事もないものだぜ?浮遊島なんて俺見た事も無い!!


イメージ的には島が空中に浮いているって感じで良いと思うんだが・・

「うまくイメージ出来ないんだが、どんな風なのが


「イメージとしてはディ○ニーランドにあるようなお城があって、お城の周りに森が広がっていてそのお城の前にはお花がいっぱい咲いている庭園があってね、そして大きな湖がその庭園の向こうに広がっているの。だから長さ10キロ幅は2キロくらいある物が空に浮かんでいる感じなんだけど・・解るかな?」


「お・・おう~イメージは大体わかったけど、まだイメージがあやふやな感じでつか


めないな・・そうだ、スケッチブックと書く物だすから書いてみてくれないか?」


って言ってクリスにスケッチブックとペンを出してやる。

するとスケッチブックにスラスラと浮遊島のイメージをワクワクした表情で俺に説明


しながら書き込んでゆく。


『さっすが女子力!!半端ねぇ~!!すっげ~~可愛い感じの浮遊島書き上げちまっ


たぜ』


「さすがだなクリス」

そう言ってスケッチブックのイメージそのままに浮遊島を創造


何も無い虚空の中に


浮遊島の右端の辺りに大きな可愛いシンデレラ城がそびえ建ち

その周りを森の木々が取り囲み

お城の前には色取り取りの花が咲き乱れる広い庭園が

その庭園の真ん中には大きな噴水

そしてその庭園の向こう側には大きな湖が広がっている

そんな長さ10キロ幅2キロの浮遊島が出現


「うわ~~イメージ通りだよ裕翔くん~スゴイ!!すご~~~~い!!何でこんな事が出来るの?何で?何で~~?もう夢を見ているようだよ~!!」

「喜んでもらえて何よりだ。細かい所は浮遊島の上を飛びながら微調整しようか?」

「あ~私も飛べるの?飛べるんならば、私も飛んでみた~~~~い」

「じゃ~行こうか」


俺達は眼下に出現した浮遊島のに向かってゆっくりと移動を始める。

最初は・・

おっかなびっくりと下に落下するんじゃないかと、足をゆっくりと前に出していたクリスだったが、落ないと解ると、創造された浮遊島に向かって手を広げて飛行を開始したクリス。


俺は!!


それを見て!!


おったまげたぜ!!


今のクリスの姿は青山高校の女子制服だ!!

そのクリスが手を広げて水平飛行し始めてんだ!!


俺から見れば


『パンツ丸見え』


な訳で・・・

『うをぉ~~クリスお前ワザと俺に下着見せてんのか~~!!』


って思わず叫びたい気分だが!!

今叫んでしまうと

『折角の純白おパンツが見れなくなっちまう?』

じぇね~~

こんなの見せられたら俺の理性が持たねえっつうの!!

俺は一気にクリスに近づき、クリスの横に並ぶと手を差し出して

「クリス手を繋いで一緒に行こう」

「はい」

とクリスは言って差し出した手を握ってくる。


『気がつかれなくって良かったぜ』

あんなもん見せられ続けたら俺の心臓爆発しちまうぜ。


世の中知らない事のほうが幸せって事もあるんだ!!

そうおれは脳内で呟くのだった。


つづく・・・

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