第5話 『クリス』

「懐かしい気持ち?」

俺は彼女の言った言葉を無意識に繰り返していたみたいだ。

彼女は俺がこの世界で作った入れ物だけの人形だった・・ハズ・・

なのに何故?


何故懐かしい気持ちを感じるんだ?


いくら考えても答えは出ない!!

だって彼女さえこの答えは解ってはいないのだろうから!!


「ドウシテ・ソンナキモチニ・ナルノカ・ワタシニモ・・・ワ・カラナイ」


そう言葉を紡ぐ俺を抱きしめた少女のブルーの瞳には・・


『涙が溢れていた・・』


クリスティーナとこの少女の間にどんな繋がりが有るのか?

どうして?

こんな風になっているのか?


それは・・

『彼女を作った時に俺の気持ちが彼女に流れ込んだから?』

そうとしか思えない。


俺の我が儘で彼女をこの世界に生み出してしまった。

先に彼女に誤っとかなきゃいけないよな・・

「俺の我が儘で君をこの世界に生み出しちゃってごめん」


そう彼女に謝まると

「ナンデ・アヤマルノ?」

って不思議そうに聞いてくる。


「だって・・・・」


俺は生まれてからただ一人の運命の人を探していた事

青山高校の入学式に行く途中にその運命の人らしき少女を見つけた時小指の付け根に痛みを感じた事

その女の子と一緒のクラスになって女の子の名前がクリスティーナ・クラークだと解った時同じように俺の左手小指に痛みを感じた事

俺が青山高校の入学式の帰りに、クリスティーナから

「私達の出会いは此れはもう運命だね。このまま私達付き合っちゃおうか?」

って言われて、答えようとした瞬間暴走車が突っ込んできてクリスティーナを庇って俺が死んじゃった事

死んだ後、この世界真っ暗な世界に紛れ込んでしまって、寂しくてクリスティーナをこの世界に創造したはずだったのに創造されたのは君だった事


俺はこれまでの経緯を彼女に説明すると

彼女は一瞬フリーズ?下かのように動きを止め・・・


その後、何かが乗り移ったように喋りだした。


「トキガミチレバ・・スベテハ・・ミチビカレル・・」

「ダカラ・・ジブンヲ・・ミウシナワズニ・・シ・ン・ジ・テ」

「コノアカイイトハ・・・アナタヲ・・カナラズカノジョノモトニ・・・ミチビイテクレル・・ハズダカラ!!」


そう俺に告げた瞬間に彼女は糸が切れたように気を失った。

俺は慌てて彼女の体を両手で支えてそのままお姫様抱っこ



最後に彼女が言った


この赤い糸・・・・・

って言葉が気になって自分の左手の小指を見ると・・・




『赤い糸が結ばれている!!』




その瞬間フラッシュバックするように映像が蘇る。


俺がクリスティーナを突き飛ばした瞬間に突き出されたクリスティーナの左手


其処から伸びる


『赤い糸』


その赤い糸は・・・


俺の左手まで伸びて・・



きて・・・



俺が死ぬ直前の一瞬に


俺の左手小指にしっかりと結ばれた




その光景が



アリアリと頭の中に蘇る。



・・・・


俺はお姫様抱っこした金色の髪の少女の顔を見ながらクリスティーナとこの少女の表


情を重ね・・・

思わず抱き締めた瞬間涙がまた溢れ出す。


少女の顔に俺の大粒の水玉が落ちた?のだろうか・・・

下から伸びる手が俺の涙を拭い取る。


「ごめん思い出しちゃって」

「泣きたい時は気が済むまで泣けば良い」


そう言って微笑んでくれる金色の髪の少女

俺は思わず少女の胸に顔を埋め他瞬間


「うううううわぁ~~~~~」


恥も外聞もなく大声で泣いた


・・・・


・・・・



・・・・


・・・・


・・・・

そんな俺の頭を少女は優しく撫でる


俺が泣き止むまで・・



何度でも・・・


・・・・


・・・・


・・・・


・・・・


・・・・


・・・・


・・・・


何時間くらいそうしていただろう・・・

俺は泣きながら・・


ふと・・


最後に少女が言った言葉を思い出す


「泣きたい時は気が済むまで泣けば良い」


あれは・・


この少女の言葉じゃ・・・なかった?

あの笑顔は・・


『クリスティーナ!!』



俺は思わず顔を上げ涙で霞んだ症状の姿を見つめながら


「名前は?」

「アナタガ・・ワタシヲ・・ツクッタ・・ダカラ・・ナマエハ・・ナイ・・」

「ダカラアナタガ・・ワタシノ・・・ナマエ・ツケテ!!」


さっきの声は?

また・・

また逆戻りか・・・・

それとも・・クリスティーナが俺に届けてくれた?

名前か・・



クリスティーナと出会えるならば、この少女の名前をクリスティーナにする訳にはいかないよな!!

じゃ~


クリスティーナの頭を取って

クリス?


うんうん!!

それでいこう!!


あ・・俺の名前も伝えておかなきゃな


「俺の名前は『ゆうと』だ。きみの名前は『クリス』って呼ばせてもらって良いかな?」

「クリス・クリス・クリス・・・ウン・・イイ・・ナマエ!!ソレデイイ!!」

「ソシテ・アナタハ・・ユウト」

「じゃ~今日から君はクリスだ。よろしくなクリス」

俺の言葉に


「ン」


っと笑顔で頷いてくれるクリス

その笑顔に俺は一瞬


『ドキッ』


っとしてしまっていた。



つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る