世界遺産宮島とテレビヒーローたち
宮島と言えば、みなさんは、なにを思い浮かべるだろう。
海の上の大鳥居とか、平安時代ふうの神社とか、あるいは原生林のある弥山(みせん)とか。
あるいは、手作りもみじ饅頭のお店や、揚げもみじ饅頭店、焼きガキ店のが並んだ商店街、その近くをたむろするシカを思う人もいるかもしれない。
それは、宮島の神さまと関係があるのだから、普通であると言える。むしろ、こういうものがあるからこそ、世界遺産になり得たのだろう。
ところが、宮島には、ほかにも意外なものが存在する。
それは、アンパンマンやバルタン星人、ウルトラの母といった、テレビヒーローたちの石像である。
石像といっても、背丈はだいたい三十センチぐらいだろうか。それほど大きくなく、色もついていない。不思議である。
話に聞いたところによると、バルタン星人やウルトラの母などのウルトラ関係の石像は、ウルトラ怪獣たちが宮島に「来襲」したことがあり、その記念として残されているのだという。
アンパンマンについては、なぜそこにいるのかは不明である。それにしてもこんなところまでこの手の石像があるとは、日本のテレビ業界って困ってるんだな、という印象である。
わたしがそう思うのは、宮島はある時期まで、人が住むことを禁止されるほど、神聖な場所だったからである。神がいるんだからというのがその理由だった。しかし、神主が住むようになり、神主の食事や世話をする人が住むようになり、神社に参る人を迎える商店などができるようになって、いまに至っている。
日本は多神教の国である。宮島の神さまは、島全体が神さまという。女性の神さまなので、恋人どおしがお参りすると、嫉妬して別れさせるとか言われていたが、最近ではおだやかになって、祝福するのだそうだ。このあたり、なかなか興味深い変遷である。その嫉妬深い女性の神さまのところに、アンパンマンやらバルタン星人やらがいるわけだから、日本人というのはおおらかというかなんというか……(笑)
宮島に行かれることがあったら、大聖院あたりを散策してみられることをおすすめする。そこでは、テレビヒーローたちが、小さな存在感を放っている。
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