献血に選ばれた勇者


高校の時、こんなことがありました。

わたしの属していた合唱部がメンバーを誘って、

「献血車が来てるから、献血しよう!」

「えーっ、いやだよ」

わたしはゴネました。

「献血したら、ご褒美たっぷり、もらえるんだよ!」

友だちは、大きな瞳をキラキラさせています。

ご褒美。なにがもらえるんだろう。

200ccほど献血しました。

すると、お菓子とか小さなノートとか、いろんなものをくださいました。

わたしはO型だったので、

たいへん喜ばれました。

「A、B、AB型、O型みなさんに行き渡ります! ありがとう!」

それから10年以上経ったあるとき。

母がくも膜下で、手術してもらいました。

わたしの輸血が、まだ混じっているかな、

ふっとそんな気持ちになりましたが、

とっくに消費されてるよね、と

理性の声は言い放つのでした(笑)

その後20年ほど経ち、Ingressで献血の話が出るたびに、

なんとか献血したい、と思うのですが

持病の治療薬がじゃまをして

成分献血すら、できないといいます。

献血にも、選ばれた勇者という存在があるらしい。

健康でないことは、つらいことだと

つくづく思ったりも、します。

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