第7話 ストーカー

 俺たちはマンション四階の松本七瀬の部屋へ向かった。

 エレベーター内で、七瀬は俺たちに説明した。


「ベランダに干しておいた下着が盗まれるのは……、まだ解かるンですが……」

 

「まさか……、室内のも盗まれたの……」

 怪訝な顔つきでクリスが訊いた。


「ハイ…… 留守中に…… 

 洗濯をする前の下着を」

 悔しそうだ。

「フゥン…… 洗濯する前か」俺は眉をひそめた。

 そいつは下着泥棒からすれば願ったりかなったりの逸品モノだろう。


「鍵をし忘れたの……❓」

「いえ、ちゃんとしていきました」

 七瀬の部屋へ入ると早速、クリスはドアの錠前を確かめた。

 

 玄関のドアを開けると女性の部屋特有の甘い匂いが漂っていた。


「なるほど…… 警察へは❓」

 クリスはドアの錠前をガチャガチャと閉めたり開けたりした。幾つも鍵があった。


「届けましたが…… あまり真剣そうじゃなくて」


「そうか……」

 しかし施錠したにも関わらず、室内のモノまで盗まれてはたまらない。

 調べたが錠前には異常はない。


「お邪魔します……」クリスの後を俺も続いた。

「どうぞ…… 散らかってますが」 

 七瀬は謙遜して言った。

 室内は綺麗に行き届いていた。


「窓も鍵が掛かっていたのね……」サッシの鍵も確認した。


「ハイ…… だから怖くて」

「うゥン…… 合い鍵は誰か、持ってる❓」


「いえ、私が二つ持っています❗❗」

「ご両親は……」

「いえ、いません。亡くなったので……」


「あ、どうも……」いきなり暗くなる話題を振ってしまった。

「いえ、気にしないで下さい」


「彼氏とかは……」クリスはかなり踏み込んだ。

「いいえ、今は……」

「今はッて事は、前には付き合っていたのかなァ~……❓」


「ええ、元カレは、ちょっと……

 ストーカーみたいな感じで」


「ン…… ストーカーか……」 

 予断を持ってはいけないが容疑者には違いない。

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