処女厨と言われても構わない

MASAMUNE

第1話 大学生

高校生活。僕こと 島崎 快斗 にとってそれは苦痛以外の何物でもなかった。


それまでやってきたスポーツを捨てて勉強し始めたのはいいものの、成績なんて全然上がらなかったし、正直センター試験直前の模試だってE判定だった。


それでも遊びも何もかも捨てて自分を信じてやり続けたら、追加合格で第一志望の大学に合格できたのだ!


そして、一人暮らしも始まり、これからの大学生活ではアルバイトをしながら彼女も作って友だちと遊んで、バーベキューやキャンプ、海もいいよな!


とにかく未来が楽しみで待ち遠しい!



────────────────────



そう思っていた可愛らしい時期が、俺にもあったんだ。


「はぁ!?彼女が処女じゃないって言うから別れたぁ!?」


ザワザワ


「───どういうことだよ?」


今は入学してから一段落ついた6月上旬、学食で大声出すものだから周りの注目を集めてしまったな。


その大声を出しやがった男は中学時代の友だちで、大学で偶然再開した 内田 誠 。ちなみに彼は高校時代に彼女を作り、今でもその彼女と交際中のリア充である。死ね。


「どうって、家でボケーっと二人でテレビ見てたときにさりげなく聞いたんだよ。」


「それで処女じゃないと、」


「そう。」


「で、別れたと、」


「そう。」

ガンッ!


誠が突然テーブルに頭突きしてまた周りの注目を集めやがった。マジでやめて。


「あのなぁ、結構いい感じにラブラブだったじゃん?俺からしたら可愛い彼女捕まえやがって!って思ってたんだぞ?」


「確かに顔面偏差値が50越えてることは確かだな。」


「マジでお前一気に冷たくなったな。」


「そうか?」


流石に自分でも自覚はある。でも故意にやっていることじゃないし、正直、なんで俺もあの時別れようとか言ったのか理解しきれていないのだ。


「そこまで処女じゃなきゃダメなのか?お前そこまで処女厨だったか?」


「わからん。ただ、何となく嫌だったんだよ。」


「何となくで別れるのか・・・。」


誠からしたら信じられないのだろうが、嫌なものは嫌なのだ。具体的に何が嫌なのかはわからないけれど、それでもモヤモヤする感覚に吐き気がして嫌なのだ。


「あのさぁ、処女じゃなきゃいけないのにそんなに理由あるか?」


「あるよ。そうじゃなきゃ別れてない。説明はできないけれど、何かダメなんだよ。」


目の前で「はぁ」と大きくため息をつく友人の姿に、そんなに俺のようなタイプは珍しいか?と疑問にも思うのだが。


「お前の彼女はどうだったんだよ?」


「ん?あぁ、処女だったよ。高2のときにお互い初めてだった。」


「───────。」


そう、理想はこれだ。お互いが初めてで、そしてその相手と誠たちみたいに長く付き合える。もっと言うなら生涯だ。


「あのさ、快斗。」


誠が子供に言い聞かせるようなゆったりとした口調で話す。


「悪いけど、大学生で処女なんて、口を悪くして言えば売れ残りのブスしかいないよ。可愛い奴はみんな高校時代にヤってるって。」


子供に言い聞かせるような口調で、大学生が耐えられない残酷な事実を突き付けてきたのだ。


「───俺、彼女いらないわ。」

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