第5話 実は十四歳と一歳
カヨカとトロンて、実は何歳?
「リアンはトロンのこと二歳くらいだって言ってたけど、正確にはもう少しで二歳、なんだよね」
「そんで今おねーちゃんが十四、オレが二歳になったら十五歳」
カヨカの答えに被せるように、カヨカの背後からひょっこり顔を覗かせたトロンは両手を使いジェスチャーで数字を表現する。そうして疲れたのか、とろけたように眠そうな目でのしっ、とカヨカに体重を預ける。
「ぅ……ボクが十三のときトロンが生まれたから……ある意味、一回り離れた双子、なのかな」
トロンに体重をかけられ、というよりも、触れられたことに驚いたのか、ぱちりと瞳を瞬かせカヨカは一瞬だけ大きく身体をビクつかせる。が、すぐにまた言葉を重ねるように話しを続けた。
「できれば、おねーちゃんといっしょに生まれたかったなぁ……」
どうせなら本当に双子がよかった、と目を閉じさらに体重をかけるトロン。
「だから早く成長したのかな、トロン?」
トロンに触れられていることに慣れてきたのか、振り返り、眠そうな目をした弟にカヨカは問いかけた。
「早熟ってやつだね。まあ、それもある。あとは、おねーちゃん早く見つけたかったってのもあるし……」
半分夢の中にでもいるのか、ふわふわと答えるトロン。
「ボクはゆっくり成長したけど、トロンは早く成長したから、見た目だけなら双子だーなんて、よく言われるよねー。ボクらこんなに成長する早さ、違うのにね」
最後の方だけ、少し寂しそうに呟くカヨカに、今度はトロンが目をぱちくりさせて明るく繋げる。
「そうそう。あと
「そっか」
先ほどの寂しげな気配は鳴りを潜め、調子を取り戻したカヨカ
「ん~、でも……これからもたくさん、増えるのかなぁ」
は、含みを込めた台詞を残す。
「さぁ~?」
それに面白そうに相づちを打つトロンは、カヨカと共にクスクスと笑い始める。
そうだ。このふたりの姉弟は、周りを巻き込んで翻弄するのが、嫌いではなかったのだ。
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