第07-1話【ポーション(1)】
二日ほど休暇をとった後、グランベイでの冒険者活動をはじめた。
たった今、記念すべき最初の依頼をこなしてきた所だ。
「今日は助かったよ。細かい作業をする時は人手が足りなくてね」
「いいえ、こちらこそリフレッシュさせてもらいました」
ここは日当たりの良い北岬の中腹にある薬草園だ。
人の良い薬草園の管理人とリオンがあいさつをしているのをながめながら、僕は両手にかかえた薬草をゆすりあげる。
これらは薬草の枝や間引いた株で、本来は捨てるものらしいのでもらってきた。
実はこれらは乾燥させればポーションの原料になる。
ポーション作成の依頼も複数受けているので、それに使うつもりだ。
「よかったなクローリス。ポーションの素材がただで手に入ったぞ」
「そうですね! ようやく生産職としての仕事ができるから今から楽しみです」
真新しい作業用ズボンとエプロンを着たクローリスが嬉しそうに答える。
今日の髪は暗緑色の髪を高めに結い上げたポニーテールだ。
これも作業するためだろう。やる気は十分である。
「さ、次の場所に行きますよ!」
クローリスを先頭に、戻ってきたリオンと僕は、次の場所に向かった。
――◆◇◆――
「ありがとうございました!」
笑顔の店員に見送られ、僕らは北西商業区の雑貨屋を後にした。
「これで三軒目です。やー、ザートのアレはすごいですね!」
クローリスは上機嫌で両手に抱えた荷物を掲げた。
今僕らが持っているのはここの店で買ったポーションの瓶だけだ。
ここに来るまでに手に入れた素材は人目が無い場所で書庫の中に入れている。
拠点をもたない冒険者が生産系依頼を受ける場合、原料や製品を運ぶのが一番大変だけど、その点うちのパーティは僕の書庫があるから楽だ。
話し合った結果、生産系依頼はクローリスをリーダーとして、プラントハンター全体で行うことにした。
「宿にもどって作業をする前に何か食べたいな。二人とも何か希望は?」
「それならバルケ・クメイにしますか? ここグランベイでは甲乙つけがたい十本の指に入る店がこの先の広場にありますよ?」
バルケ・クメイはクメイという油がのった魚を炭火で焼き、ハーブやリナルなど柑橘が入ったティランジア風パンにはさんだものだ。
ここグランベイの名物料理で、陸の料理に飢えた沖の帆船に薬草をいれた食事を売りだしたのが初めといわれている。
トップテンがもつれ合うなんてさすがは名物料理、美味い店の層があついな。
――◆ 後書き ◆――
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