第8話  そしてまた日常が始まる



 のびていたビッチ達、テロリストは警察に連行された。彼等の不正改造デルタも当然、警察に押収された。

 そしてつい忘れガチだったが、拘束されてトラックの荷台に転がされていた少年達も無事保護された。

 

 後は問題のイプシロンだが、この物騒な機体はカドワキ重工に引き取られ、厳重保管される事となった。どうやら由衣の父親で、現カドワキ重工社長の門脇厚司がいろいろと手を回したらしい。本来、解体されても文句は言えない所だから、この処分は巧も納得している。そうそう、須藤正太郎氏が亡くなった後、須藤モータース存続の為に動いたのはビッチじゃなく、門脇厚司だったようだ。やはり彼はずっと影から須藤正太郎を支えていたらしい。


 ガンマについては、特別に巧のガレージで保管できる事になった。両親の形見という扱いにしてくれたのだ。これには巧も由衣も素直に喜んでいる。まあ、あたしとしては微妙な感じだけどね。

 もう二度と乗りたくないってのが正直な気持ちだから。

 Gカップじゃないと起動できないとかアホみたいな条件付きだしここは一つ、由衣にがんばってGカップになってもらおう。


 また起動しなくちゃならない状況になったら、の話だけど。



 あと、須藤巧と門脇由衣は現在、急接近中らしい。もっとも、由衣の方が積極的に迫りまくり、巧は逃げ回りつつも満更では様子なんだそうだ。



 なんだそうだ、ってのはこれは全て後から聞いた話だからだ。


 それもその筈、あたしはあの後、ぶっ倒れて入院してたからね。

 結構、内臓にダメージがあったらしい。そりゃ、あれだけ激しい戦いだったもんね。流石のGカップでも受け流せないダメージだった訳だ。

 いや、Gカップだからこそ、この程度のダメージで済んだって事かもね。




 あれから数週間が過ぎ、あたしは今また普通の教師として登校している。



「「おはよう、先生!」」


 そう声を掛けられ振り返ると、巧と由衣の笑顔があった。


「おはよう。仲いいねぇ。付き合ってんの?あんたら?」


 そうからかうと巧が真っ赤になって否定した。


「ち、違うよ。コイツが毎朝迎えに来るからさぁ」


「何?わざわざアンタんちまで、車で送って貰ってんのよ?結構遠いのにさあ」


 由衣は巧が再び不登校にならないよう、わざわざ車で巧の家まで迎えに行き、その後一緒に登校しているらしい。


「いいじゃん。楽しくやれたらさ」

 あたしはそう言って笑う。


「ねえ、先生。なんでまた地味に戻っちゃったの?」


「そうよ、本当の先生、すっごくイケてるのに」


 二人が不満そうに言う通り、あたしはまた前のままの地味スタイルだ。


「うーん、いきなりガラッと変わったら周りが混乱するじゃない? ヅラの人がなかなか外せないようなもんかな」


「ヅラとは全然違うと思うけど。格好良くなる方だしさ?」

 と、巧が言う。


「でも、今変わったらさ、絶対豊胸手術して来たって思われるし」


「「あー、だね」」

 と、納得する二人。


「じゃあ、先生、今でもおっぱい嫌い?」

 おいおい、巧くん何聞いてんだよ。隣でお嬢様が睨んでるぞ?


「まあ嫌いではなくなったかな。おっぱいもまんざら捨てたもんじゃない」

 と、笑う。

 好きであれ嫌いであれ、これらを全部ひっくるめて今のあたしがあるんだ。

 ならそれを素直に受け入れよう。

 今ならそう思える。


「よし、決めた。わたしも巨乳になるっ」

 突然の由衣の宣言に、巧は目を白黒させてる。


「ええっ、そんな言ってなれるもんでもないじゃん?」


「いや、自分のおっぱいは自分で揉んで鍛えるっ。そして昨日のおっぱいを1%でも超える! アンタも手伝いなさい?」


「な、なに言ってんの⁉」

 あーあ、いきなり尻に敷かれてるなあ。こりゃこの先たいへんだよ、巧くん?




 そして由衣は最高の笑顔を見せながらこう言った。




「だっておっぱいには脂肪だけじゃなくって、希望も詰まってるもんね」













 P. O. K. D. パイオツカイデー第一部


    完













 



 


 




 





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