企画参加用 封印されし龍と運命のつるぎ 15話
まんじ
第15話
「ふぅ……」
女魔導子ノヴァは溜息を漏らす。
安堵のため息だ。
彼女の手にはこぶし大の宝玉が握られており、その中に奇妙な光景が写り込んでいた。
写り込むのは何とも言えない摩訶不思議な森。
そしてその中を彷徨う一人の少年の姿……ネリだ。
「
それは世界に穴をあけ、脱出不能の異空間を生み出す封印魔法。
彼女はこれをネリの軌道上へと設置し、見事に封印する事に成功する。
「やっぱり、まだ完全には覚醒していないみたいね」
もし完全に復活していたのならば、封印されたからと言って姿が元に戻るような事はなかった筈。それどころか異空間だろうが、即座に突き破り外に出て来てしまっていたに違いない。
もしそうなっていたなら、彼女はアンを置いて即座にこの場を撤退していた事だろう。
「ふふっ」
上手く行ったことに上機嫌のノバは宝玉を覗き込み。
そしてクスリと笑う。
「伝説のドラゴンは究極の存在だから、子孫を残す必要が無いのよねぇ」
子孫を残す必要がない以上、性器も当然不要な物となる。
手に入れた強大な力に比べればそれはとても小さな代償なのだが。
そんな事情を毛程にも知らないネリは、パニックになっておろおろと挙動不審に宝玉の中で動きまわっていた。
「可愛いわねぇ。ちょっと揶揄っちゃおうかしら」
余計な刺激を与えずこのまま宝玉に封じて連れ帰るつもりだったが、年下の男の子の可愛らしいしぐさに悪戯心が触発されて、ノバは呪文を詠唱し始める。
最悪ドラゴンの覚醒を進めかねない愚かな行為だが、少しぐらいなら大丈夫だろうと自分に甘い判断の元、魔法を発動させた。
発動した魔法は紫色の毒々しいガスの塊――煙の様な物となって宝玉へと吸い込まれていく。それは魔法で生み出された魔法生物。
害意や敵意等は無く、只ひたすら衣類を腐食させ喰らい尽くすだけの存在。
「あそこは無い訳だし。18禁にはならないわよねぇ」
剣が通じず。
突然現れた魔物に服を食べられ、堪らず少年は森の中を逃げ回る。
その追いかけっこを目じりを下げて堪能しながら、ノバは宝玉とアンを連れて目的の場所へと向かうのだった。
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