第2話 『はとさぶろ乱心』
「あそれ、あそれ、はとさんが、あたまをかかえて、ごっつんこ。
あ、ごっつんこ、あ、はと、あはと、」
「はと『め』ざぶろ!! びわ~~~~~~!!! ぎゃははははは!」
両方の羽で、まんまるな目を、じわ~~~とひっぱりながら、わけのわからぬ踊りを踊りまくり、はと用のお酒をたんまり仕込んで、はとさぶろは毎日毎晩、やましんさんちの地下にある『高級クラブ』で、遊びまくっていたのである。
はとさぶろは、長年、あぶないスパイ仕事をやってたことから、たくわえはたっ
ぷりとあった。
『ごきにゃんわんちょう銀行』に、大金を貯蓄していた。
実は、それとは別に『地球動物銀行』にも、同じくらい蓄えていた。
しかし、『のらねこ女王』のクラブは高いこと、このうえない。
『あれじゃあ、すぐ、全部、のんでしまうなあ。』
そういう、うわさが立ちはじめていたのである。
そのおかげで、「『はとさぶろ』が、なにか裏政府に対して、内部告発か、討ち入り、みたいなことをやるんじゃないか・・・」という噂が、当初はあったが、それは次第に影が薄くなっていった。
すると、最初は、やんやっやんやと、はとさぶろのお金で騒いでいた取り巻きたちも、薄気味悪くなったのか、はとさぶろから、だんだん離れていったのである。
それでも、はとさぶろの放蕩生活は収まらなかった。
『ぶっこわれたんだにゃあなあ。すっかりとさ。』
のらねこ女王までも、そう言い切っていたくらいである。
だから、みんな、そう言っていたというわけだ。
紛れ込んでいた、政府のスパイも、あきれはてたくらいである。
『ふん。もうちょっと、ほねのある、はとかと思たったがな。』
くろずくめの、サングラスをかけた、スパイからすが、つぶやいた、
ただ、いちごき、真面目に心配していたのは、じつは、ごき大将だったのである。
改革派で隠れた革命家であったゴキ大将は、はとさぶろに、以前から目を付けていたのである。
有能な、同志になりうるやつだ、と。
ごき大将は、はとさぶろの様子を撮影したマイクロフィルムを・・・(普通のでもマイクロになるのだが・・・)やましんさんのふとんの上に、小さな箱に入れて持って行かせた。
さて、こまったのは、やましんさんである。
『この真っ黒な豆つぶみたいなのは、なに? ごきのふんかしら。でも、ちょっと違うみたい。だいいち、箱入りだもんな。むむむむ。』
さあ、こまったぞ。
ふつうなら、ごみばこに、ぽい! なの、であるが、なんか妙な胸騒ぎがする。
やましんさんは、ちょうど、食後のお薬を飲む時間であった。
糖尿病やら、高脂血症やら、うつやら、めまいやら、ドライ・アイやら、ドライ・マウスやら、その他、あっちこっち、良くなかたのである。
そこで、いつものように、手が滑ったのだ。
ぶきっちょという病気もあったのだが、こいつは直らない。
その豆つぶが、コップの中に飛び込んだ。
まさに、ゴキ大将が読んでいたとおりである。
すると、あ~~~~ら、不思議。
天井に映像が浮きあがたのである!
それは、おどりまくる、はとさぶろの、あわれな姿であった。
🕊*************** つづく
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