『はとさぶろの放蕩生活』

やましん(テンパー)

第1話 『はとさぶろの放蕩生活』 

《このお話しは、作者の妄想または夢によるフィクションです。》




 やましんちの地下には、想像を絶する多くの施設があるのである。


 『地球ごき連合本部』


 『元祖関東いえネズミ協会本部』


 『開祖関東どぶねずみ平和連絡協議会本部』


 そのほか。


 さらに、のらねこ女王が経営する『グランドサロン にゃん』がある。


 外では、お互いに食ったり食われたりもする連中が、みんな、原則、自由に利用可能である。


 ただし、いくつか、お約束事項があったのである。


 まず、正装して来る事。


 ここでの、けんかは、絶対に、ご法度、である。


 と、いう申し合わせになっている。


 ひとは来ない。


 ただし、無断経営している手前、やましんは、出入り自由と、規約上うたわれてはいるが、本人は知らない。


 また、入りたくても、サイズが合わないが。



   🕊   **********

  


 そこに、正装した、はとさぶろが、ふらっと現れたんであります。


 入口で、まず《あいことば》を言わなければなりません。



 《やましんは、すっごくえらいひと》  !!!!!!!!



 はとさぶろは、スパイだった関係上、こうした情報には通じております。


 一発で、パスしました。


 パスした以上は、ごちゃごちゃ詮索しないのがルール。


 『誓いの言葉を、わたくしについて、言ってください。』


 ちょっと、おうちでは見ないくらい、巨大な、礼服姿の、ごきが言いました。


 『わたくしは、けんかは絶対しません。暴力はふるいません。誓います。たがえた場合は、二度と入れませんことを了承いたします。はいどうぞ。』


 はとさぶろは、そのまま繰り返しました。


 『では、どうぞ。』


 はとさぶろは、中に入りました。


 ヌーヨークの、国連ビルの地下深くにあるという『世界生き物連合協議会』の、『高級クラブ』と、寸分違わないという感じらしいのです。


 もっとも、ヌーヨークの、その『高級クラブ』に入ったことがあるものは、ここには、『ゴキ大将』しか、いませんが。


 はとさぶろは、カウンターに腰かけました。


 今夜は、『ママ』=『のらねこ女王』は、ちょっとお留守らしい。


 助手の『のらねこ王女』と呼ばれる、見た目、なんとなくシャム系の雰囲気がある(実は、違うらしいが・・・しかも、おすにゃんらしい。)美にゃんがお相手に出て来ました。


 『あ~~~ら。こちら、初めてのお方かしら?』


 『そうでもない。女王は、よくご存じのはずだよ。』


 はとさぶろは、ちょっとだけ、にらみを効かせたのです。


 『あら。そう。何にしますか? いま、新種のブランデー・キャンぺーん中です。』


 『じゃあ、それでいいです。』


 『は~~~い。『いだいなるやましんフルト』わん、で~~~~す。』


 『おかしな名前ですね。』


 『やましんさんは、ご存じ?』


 『まあ、いちおう。ここの、家主だろ。』


 『そうそう。そこのお台所からいただいたもの。中身は、ジュースなんだけどさあ。やましんさんは、『フルト』とかいう笛で鳴くから、お名前に頂いたの。まあ、『ひと』のお酒は、にゃんにはきついし、舐めたら、いちころのもいるからさ。でも、本物の、お酒もあるわよ。しっかりうすめてますから、たぶん、だいじょぶ。でも、はとさんは、どうなの?』


 『まあ、かっこうだけね。』


 『そか。じゃあ、いっただきまあ~~~~す。』


 『ああ。ママは?』


 グラスをかっちんこさせながら、はとさぶろが尋ねました。


 『なあんかねぇ、用事だってさあ。まあ、デートじゃない?』


 『いまは、その時期じゃないだろ?』


 『ははは。最近、にゃんも、さかんなの。』


 『は????』



  ************   **********


  

 『おい、あれ、はとさぶろじゃないか?』


 カラスの『カー・ジンゴ』が言いました。


 『分かってるさ。あっち見るな。ここでの騒ぎは御法度だからな。』


 『カラスン・ドヴォ』が、うるさそうに答えたのです。


 この二羽は、もともと、はとさぶろの仲間内でした。


 しかし、リーダーの『からすごんざえもんのすけたろう』の指示により、はとさぶろを陥れる企みに参加したのでした。


 はとさぶろは、その陰謀を、大方、知っておりました。



  **********  🕊 **********    つづく








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