表と裏ー第2章-懐かしい

忘れ物をとりにニクの家まできた。

この街に2年前に戻ってきて、その時ヒトトキのオーディションを受けたそうだ。

「ただいまー」

「お帰り」玄関先にお母さんが現れた。美形の家族は、いいなあ。40代ぐらいだというのに、色白でシミ一つない艶々の肌、ニク達と姉妹みたい。うちと全然ちがう。この親にして、この子達ありだよね。

ふと、笑うと目がなくなる母さんの顔が、浮かぶ。

「いらっしゃい。写メ届いたわよ。可愛くとれてたわ美味しそうなパフェと。前に、よく家に遊びに来てた鈴さんね。これからも、ニクのことよろしくお願いしますね。」

「あっ、はい。」かしこまる。

「もうすぐいくから。用意してくれた?」

「うん、これ。それと、これは鈴さんに。仕事場で貰ったトラベルセットいっぱいあるから貰ってくれる。今来たばかりなのに、ゆっくり、して行けば?」と、いうのも聞かずに歩きだす。

「少しは家でゆっくりしても、よかったんだけど。」

「今日は、いいよ。母さん前より、家にいるしまた話相手になって」



動物園

忘れ物を貰って、次の目的地についた。(昔、3人でよく来たっけ、入場料安いし動物いっぱいいるし、遊具もある。)

(なんだか、何みても懐かしい。たった、1年だったけど、私にとって濃かった日々。二人は親友だった。)

「なんかねー。あなた達がいなくなって、気が付いたの。私にとって、何よりもかけがいのない親友だったって。」

「それは、俺もユウもおなじだよ。だから、また会ったってことも。運命だと思う。俺の彼女になって、嫁さんになるのも運命だ。」

「そうだね。えー、どさくさに紛れて、何言ってくれてんの。前半は、認めるけど。後半はー」顔が赤くなる。身体が熱くなる。だから、もうファンサービスは、いいんだってば。


象にはじまって、ヒョウやくまなど、坂道を登ったりおりたり、慣れた道を進む。

「しげこいるかなー?」科学の先生に似ているので、ゴリラにあだ名をつけた。

「いたいた。あの子じゃない。」

「あれだって。やばい。今日は、フン投げするやついないか?」

(そうそう、興奮するとフンを客めがけて投げてくる子がいるんだった。それが、話題になってわざわざみに来る人も、いたんだ)


「すべてが、懐かしいねー、今度コウとも、一緒にこようよ。」

「やっぱりコウがいないとつまらない?どうせ、あの時から僕は、オマケだから」(あれ、真顔。右の眉毛上がっている。)

「そんな、訳ないよ。オマケなんて、そんなこと思うなんてぜったいない。」

「アハハ、わかったよ。そんなに、マジでとられるとは思わなかったよ。」(なんだあ、冗談か。でも、真顔に見えたけど)


その時、ニクが手を繋いできた。(うっ、緊張する。デイトなんだから。)

それからは、手が気になって頭に残っていない。


閉園時間ぎりぎりまで、園にいた。お土産に、家へのお菓子と二人でペアのゴリラの指輪を買うのに、てまどっていた。

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