第7話 ミヨちゃんの提案
6月半ばすぎだった。
ミヨちゃん、谷本なっちゃんと私と仲のいい3人で放課後、誰もいない教室にいた。
そして好きな子を告白し合っていた。
最初、少し躊躇したが、占いをきっかけに言い合った。
占いの本を見ながら、私の今気になる人は
「渡辺君だ。」
と言った。
ミヨちゃんは野球部の森脇くん。
なっちゃんの好きな人は水泳部の浜岡君だった。
占いの本を見ても、相性が書かれていたが彼らの血液型も誕生日も知らない。
もっと彼らの事を知りたい。
もう少し彼らのことを考えてみたら……、
まず年のわりには落ち着いている。
渡辺君は頭はいいし、あとの2人も人気者で女の子が放っておかないぐらいだった。
憧れている私達。
ひとりひとりが素直で自分にないものをもっている彼らだった。
突然、ミヨちゃんが切り出した。
「私にまかせときなさい!!」
と胸をドンと叩く。
ミヨちゃんは皆へ1人ずつ告白し合うのもいいじゃないかと提案した。
ー そんな告白だなんて…。
私も急な事で驚きを隠せない。
それは嬉しいことでもあり、もっとも緊張する事であった。
それからそれぞれあだ名をつけることにした。
野球部の森脇君は少しニヒルな感じだ。
森脇純一郎という名から純くんということにした。
水泳部の浜岡健太は笑顔の可愛らしい男の子だ。
あだ名は浜りん。
私の好きな渡辺君は、なべくんになった。
純くん、浜りん、なべくん…。
そう決まった。
ミヨちゃんの好きな純くんは
「野球をしてる姿は好きだけど、普段は普通よ。」
と純くんの事を好意を寄せてる程度だという。
だから、ミヨちゃん自身は告白しないそうだ。
そのかわり、ミヨちゃんがふたりの仲をとり持ってくれるそうだ。
「ミヨちゃん、いいの?私も別にかまわんよ。」
と私が言うと
「大丈夫、大丈夫、私、こういう事、上手なのよ。」
頼もしいミヨちゃんだ。
私達の信頼にこたえるように、早速、浜りんとなべさんに明日、言いに行くと言いだした。
「そんなに急がんでも…。」
「こういう事は早い方がいいんよ、ひとりひとり頼みの行くから、大丈夫よ。」
「えー!本当に告白するの?」
「まかせとき!じゃあ明日の放課後、なべくんをB棟の階段の下に呼び出すからきてね。」
と部活動の音楽室へと急いでいく。
なっちゃんもあわてて教室を出ていった。
ー どうしよう…。
本当に告白するの?! ー
私には無理だ。
明日の朝、ミヨちゃんに言って断わろう。
私はそう自分に言いきかせるように、その場を立ち去り、バスケットの部活へと急いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます