第8話 告白!!
次の日。
「でも付き合うって何することなん?!」
「そうねー。私達まだ携帯も持ってないし、交換日記でもする?」
ー 交換日記?! ー
小学校の時、女の子としかした事ないのにー…。
目をパチクリとさせてる私を見て、ニコニコしていた。
「そうしようか!!」
「えっー、できんよ、そんな事。」
「大丈夫、大丈夫。」
と又もや同じ事を繰り返し言った。
「大丈夫と思うよ!」
と言い中学校へと続く坂道を駆け足で彼女は登っていった。
放課後、私は運動場にいた。
告白するまであと1時間だ。
ドキドキとする心。
時は刻々と過ぎていく。
そんな中、クラブの練習で運動場を5周したのだ。
少し休憩していると何かしら私の名前を呼ぶ声がした。
「トモー、トモー!!」
あれれ…、どこから聞こえてくるのだろうか。
「トーモー!」
見ると4階の音楽室から声をかけてくるミヨちゃんがいる。
窓から顔を出している。
「あ…、ミヨちゃん…。」
思わず軽く手を振った。
「又、後でね。」
少し照れくさくなって、苦笑した。
子供みたいな無邪気なしぐさだったのだ。
ミヨちゃんのキラキラした瞳。
彼女は友達のために一肌脱ぐつもりだった。
そんな彼女が好きだ。
「また、後でねー!!」
そう言うと窓から大きく手を振っていた。
1時間たって夕方になっていた。
私はまだB棟の階段の下に行ってなかった。
行けないまま…。
ー なべくんはもう来てるだろうかー。
ー ミヨちゃんはもう話ししてるだろうか。
少しずつ向かっていく先に何があるのだろう。
不思議と何も考えられなかった。
1歩ずつ歩いて階段を降りていく。
どうしよう…。
たとえ失敗したとしても言って良かったと思えるかもしれない。
彼の生活に少しふれてみたいけど壊れてしまう気がした。
私は2人が待つB棟の階段の下に向かう。
少し階段を降りていくと、下からの話し声が聞こえてきた。
彼と彼女の話し声だ。
ミヨちゃんの声が聞こえてくる。
「それでどうするん? 付き合ってあげてもいいかもしれんよ。」
「……。」
「無理なん?」
「付き合うってどうやって…。」
というなべくんの声。
私はドキンとする。
ミヨちゃんはゆっくりとうなずき、とりなすように聞く。
「トモちゃんは、私、小学校の時からずっーと一緒だけど、優しくていい子よ。最初、交換日記からでもいいんよ。渡辺君もそのほうが付き合いやすいでしょう?」
ミヨちゃんはなべくんの目をジィーと見つめた。
私の胸の中が、焦りと期待と不安が入りまじる。
彼女は小首をかしげた。
「いいよね。」
と一言いうと、なべくんは
「いいよ」
と軽く返事した。
私の何かが崩れた。
一瞬だけ、怖いと思った。
全身の血が騒ぎ出した。
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